API国際政治論壇レビュー(2023年第Ⅰ号)

Index Index

1.なぜ戦争が長く続くのか

■見通しの暗い戦争を戦うプーチン

2023年2月24日、ロシアのウクライナ侵攻から1年が経過した。依然として戦争の見通しは不透明で、戦争終結への道筋は見えない。そのようななかで、この戦争の性質を検討し、また今後の見通しを論じる論考が数多く見られた。

『フォーリン・アフェアーズ』誌が組んだロシア・ウクライナ戦争勃発から1年の特集には、戦争史研究の大家であるロンドン大学キングス・カレッジ名誉教授のローレンス・フリードマンが寄稿している(1-①)。フリードマン教授は、ウクライナとロシアがそれぞれ「二つの異なる戦争」を戦っていていると論じる。すなわち、ウクライナが民間人の被害を避けてロシア領内への攻撃を自粛する「制限戦争」を戦っているのに対して、ロシアは民間人や市街地を直接攻撃するような「総力戦」を戦っているのである。ロシアの総力戦的な戦い方がウクライナ国民の戦意を昂揚させ西側諸国のウクライナ支援を強化しているのに対して、ウクライナの制限戦争的な戦い方は奏功し機動力を活かしてハルキウ奪還に成功した。ウクライナが最終的にこの戦争に勝利するためには、ロシアがいかに無駄な戦争をしているかと認識させ、ロシア軍を後退させることが重要であると論じている。的確な分析といえる。

他方で、外交問題評議会会長のリチャード・ハースは、「なぜ戦争がこれからも続くのか」と題する論考のなかで、計画通りに進まない戦争においてウラジーミル・プーチンが難しい選択を迫られており、時間との戦いに陥っていると論評する(1-②)。同時に、ロシアへの制裁の効果も限定的で、ウクライナも妥協する余地がないために、外交が行える環境にはないのが現実である。このような状況についてハースは、悲劇的なことに、今後も戦争が継続していくであろうと予測する。

元駐ロ米国大使のマイケル・マクフォールは、より長期的な視野で考えるならば、このロシアによるウクライナ侵攻が、プーチン体制終焉の契機になると予測する(1-③)。マクフォールによれば、負けている戦争の指導者は将軍を頻繁に交代する。プーチンが総司令官を交代させるのは、現実はロシアが戦争で敗北しつつあるからだ。プーチンは年が明けてから大規模な攻勢を決断しているが、次のような理由から、かつてのような「全知全能の指導者」であるかのようなロシア国民からの評価を得ることはないであろう。第一にロシア軍が戦場で大勝を収める可能性は低い。第二に、ウクライナ侵攻後には包括的な対ロシア制裁が始まり、そのことがロシアを世界経済から切り離してしまった。第三に、プーチン大統領へのロシア社会の支持が後退している。すでにプーチンにとっての最良の時期は過ぎ去った。ウクライナでの大失敗が、「プーチン主義」と呼べるような、ロシアにおけるイデオロギーの終わりの始まりとなるかもしれない。最近のプーチンの言動が、まさにそれを物語っているのだとマクフォールは分析する。

実際に、プーチン大統領はきわめて困難で、見通しの暗い戦争を戦っている。元ロシア担当の国防省分析官で、現在はRAND研究所上席政策研究員のダラ・マシコットによれば、ロシア軍は現在、攻撃を重視して、動員した兵力と旧式装備で戦っているが、そこから得られるものは逓減し、今後ますます苦戦を強いられることになるであろう(1-④)。プーチンは、防衛より攻撃を重視し、ロシア軍の総括司令官をセルゲイ・スロヴィキン将軍からワレリー・ゲラシモフ将軍へと交代させた。だが、粗雑な戦術で攻撃を続ける結果、侵攻開始当初よりもロシア兵の死傷者数が増加しており、新たに動員された兵士たちは自分たちが「使い捨て」であると認識している。他方で残された兵器の多くは修復が必要で、兵力の練度も低く、ロシア軍の新たな攻勢は困難である。いわば、プーチンはロシア人の人命を犠牲にして、ロシアの未来を投げ捨ててしまったのだ。ロシア軍のギアは壊れており、練度の低い兵員と旧式戦車では、たとえアクセルをふかしても、もはやギアを上げることはできないのだ。

■停戦に向けて必要なこと

戦争が永遠に続くわけではないが、同時にプーチン大統領が早期にロシア軍を撤退させる見通しがあるわけではない。だとすれば、今後徐々に、停戦へ向けたシナリオを考えていく必要が生じるであろう。

ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス教授で、ソ連外交史が専門の歴史家のヴラディスラブ・ズーボックによれば、ロシアが戦闘に勝利できないことは明確であるが、他方でロシアを完全に打ち負かすまで戦い続けるのはリスクが大きい(1-⑤)。いわば、欧米諸国は、ロシアが受け入れ可能な戦後の構想を提示する必要がある。戦争終結のためには、したがって、ロシアが敗北を受け入れることと同時に、ウクライナが完全な勝利の到達が困難だと認識することが重要だ。その場合に、ロシアの主権と領土保全が尊重され、またロシアが国連憲章などの国際法や国際的な合意を遵守することを前提に同国の国際社会における大国としての地位を受け入れ、さらにはロシア人の資産凍結を解除するためのタイムテーブルを提示することが必要となるであろう。

他方、ウクライナで国防相を務め、現在はシンクタンクの防衛戦略センター(CDS)に所属するアンドリー・ザゴロドニュクは、ウクライナによるクリミア奪還の重要性を指摘する(1-⑥)。それが必要なのは単に正義に基づくのみならず、クリミアがウクライナに戻らなければウクライナの安全も経済再建も難しいからだと論じる。また、ロシアがクリミアを支配し続ければ、ヨーロッパと中東にロシアが自らの影響力を拡大して、世界の安全を脅かすことになるだろう。それゆえウクライナは、交渉に拠るか、あるいは戦争を続けることに拠るかに拘わらず、クリミアを奪還する必要があると述べる。もちろん、そのためには大きなコストが必要となるであろう。はたして、アメリカ、さらに欧州諸国は、そのようなウクライナの意志を尊重するだろうか。あるいは、ロシアとの妥協的な和解へと誘導するであろうか。そのような疑問も残る。戦争の趨勢は、ある段階からはクリミアの位置づけによって大きく左右されるであろう。

今後、戦争がどのように継続していくのかという問題は、戦争がどのように始まったのかという歴史的経緯をめぐる認識とも深く結びついている。プーチン大統領はウクライナに侵攻をする際に、何度となく、NATO(北大西洋条約機構)が「1インチも」東方には拡大しない、というかつての「約束」を反故にしたことに言及してきた。

この過程について最も詳細に検討を行った歴史家のメアリー・サロッティは、『フィナンシャル・タイムズ』紙に寄稿した論稿で、ロシアは西側諸国と結んだ合意についての誤った認識を抱き、歴史を歪曲していると指摘する(1-⑦)。すなわち、ロシア(当時はソ連)がドイツ統一を受け入れた1990年、NATOがその代わりにロシアとの間で東方拡大しない「約束」を行ったという事実はない、と論じる。「NATOは1インチも拡大しないはずではなかったのか」とプーチンは批判するが、これはあくまでも当時のジェームズ・ベーカー米国務長官が交渉中に言及した言葉に過ぎず、ジョージ・H・W・ブッシュ大統領はそのような前提条件を設けることを明確に拒絶した。そもそも、NATOは加盟国数を制限することへの合意などは行っていない。プーチンは意図的に歴史を改竄し、武器化することによって、自らへの支持を拡げようとしているのだ、とサロッティは批判する。そのような歴史の歪曲を、われわれは拒絶する必要がある。

2.重みが増すヨーロッパの責任

■ヨーロッパが選択するべき道

はたして、これからどのようにして戦争を終結させることができるのだろうか。そして、その上でのヨーロッパの責任は、より大きなものとなっている。ヨーロッパはどのように対応するべきか。

欧州議会議長のロベルタ・メッツォラは、「ウクライナはヨーロッパであり、ヨーロッパはウクライナである」というタイトルの論稿をフランスの『ルモンド』紙に寄せている(2-①)。そこでは、戦争勃発から1年が経過する中でウクライナへの支援を継続していく重要性を強調している。メッツォラによれば、自由と正義なくして平和はあり得ない。欧州議会は、ウクライナの解放、そしてEU(欧州連合)への加盟を望んでいる。ウクライナのEU加盟は、象徴的および道義的な意味のみならず、解放後のウクライナの復興にも役に立つであろう。ウクライナのEU加盟が必要なのは、「ウクライナはヨーロッパであり、ヨーロッパはウクライナである」からだ。

元フランス首相のマニュエル・ヴァルスもまた、ヨーロッパがウクライナを支援する重要性を力説する(2-②)。ウクライナに対する軍事支援こそが、ウクライナがロシアの攻勢に立ち向かうことを可能にし、またロシアを交渉に向かわせることを可能とする。確かに今後は、戦争の硬直状態を憂えて、早期に停戦交渉を求める声が大きくなるであろう。だが、プーチンはこれまで何度も嘘をついてきた。合意が、ロシアによって遵守される保証はない。ヴァルスによれば、毅然たる態度のみが、平和と安定をもたらすのだ。いずれの国でも、自らがコストを背負い、危険と背中合わせでウクライナを支援する事に対して戸惑う声がある。だが、ウクライナへの支援を継続し、ウクライナが戦争で勝利することが、ヨーロッパが選択するべき道なのだとヴァルスは訴える。

同様の主張は、EUのジョセップ・ボレル外務・安全保障上級代表によっても述べられている(2-③)。ボレルはこれまでも、EUのなかでロシアに厳しい制裁を科して、ウクライナを支援する重要性を繰り返し説いてきた。ボレルによれば、レオパルト2やM1エイブラムスのような高性能の戦車をウクライナに供与する効果が発揮されるのは、戦場にとどまらない。それはまた、ヨーロッパやアメリカの強固な決意というものを、もはやプーチンが疑うことができないような、象徴的な意味での政治的な効果も持つのだ。ボレルによれば、戦争を終わらせる唯一の方法は、侵略者を追い出すための手段を、ウクライナに与えることだ。そしてEUの任務は、そのためにも、ウクライナ支援に全力を尽くすことだ。ウクライナが主権を回復し、そしてEUの中で自らの居場所を見出すための手段を、これからも提供し続けることが重要だ。ウクライナに対する強靱な支援をEUが継続するために果たしてきたボレル上級代表のこれまでの役割は、巨大である。

■安全地帯に止まることはできなくなった

ところで、これまでヨーロッパの安全保障については、NATOがその抑止に責任を負っていた。それはすなわち、アメリカの軍事力にヨーロッパ諸国が依存していることを意味していた。

ブリュッセル自由大学教授のルイ・シモンは、EU自らが抑止と防衛のために十分なリソースを確保する必要があると説く(2-④)。それはまた、EUが発表した戦略方針である「戦略羅針盤(Strategic Compass)」を実行する上での中核に位置づけるべきだ。欧州安全保障におけるアメリカの将来の関与は、インド太平洋への傾斜や、アメリカの国内政治に大きく左右され、不透明だ。いずれにせよ、ヨーロッパ自らが役割を拡大する圧力は増すであろう。すなわち、EU自らが、抑止や防衛の重要な一角を担うべきだ。

かつてイラク戦争を前にして、アメリカのネオコンの理論的支柱であったロバート・ケーガンがその著書の中で、米欧関係について、「アメリカ人はマース(戦争の神=火星)からやってきて、ヨーロッパ人はヴィーナス(美の神=金星)からやってきた」と、そのイデオロギーの違いを説明した。

だが、『ルモンド』紙の論説委員のジル・パリスは、今ではアメリカもヨーロッパも皆が、「マース」から来ていると論じている(2-⑤)。「歴史的転換(Zeitenwende)」を経たドイツを含めて皆が、「戦争の神」になったのだ。ロシアのウクライナ侵略を経験し、もはやヨーロッパは「美の神」として戦争から離れた安全地帯に止まることはできなくなった。

そのような変化が最も顕著であったのが、ドイツである。そして、ドイツが直面した大きな問題が、高性能なドイツ製戦車レオパルト2のウクライナへの供与の承認であった。

国際戦略研究所(IISS)のシニアフェローであるフランツ=ステファン・ガディは、レオパルト2が戦場に及ぼす影響を冷静に解説する(2-⑥)。まず、レオパルト2は、徹底的な訓練と、軍事ドクトリンの変更、そして西側諸国による装備や弾薬の継続的な提供によってはじめて、効果的な運用が可能となる。アメリカ製の戦車M1エイブラムスはそれとは異なる能力と兵站が求められ、同時に投入するには複雑な準備が必要となる。だが、そうだとしても、ドイツ政府はより早期に供与を決定するべきであっただろう。なぜなら、ガディによれば、ドイツの優柔不断によって、大西洋同盟全体で貴重な政治的リソースを犠牲にしたからである。ドイツ政府は、軍事力は正しい目的のために用いられるのであれば、それは「善なる力(force of good)」となり得ることを学ばなければならない。カディのこのような指摘は、おそらくそのまま日本にもあてはまるのではないか。

実際に、ドイツは従来の楽観的で協調的な対ロシア政策を大きく修正しつつある。

ドイツ外交問題評議会(DGAP)のシュテファン・マイスターヴィルフリード・ジルゲは、ウクライナ戦争によってこれまでのドイツの協調的で相互依存に基づいた「オストポリティーク(東方政策)」に終止符が打たれたと論じる(2-⑦)。プーチンのもとで、ロシアはドイツやEUにとっての「敵」へと変貌し、ロシアに対抗する防衛力を構築することがドイツの外交・安全保障政策の根幹になりつつある。メルケル政権は、2014年のロシアによるクリミア侵略や、その他の挑発的な行動にもかかわらず、ロシアへのエネルギー依存を強化してきた。このようなドイツの消極的な姿勢が、ロシアの権力者たちをよりいっそう侵略的にさせたのだ。それゆえ、ドイツもEUも、ロシアとの新たな関係を深く認識する必要がある。ドイツの政策目標は、ウクライナの勝利と、ウクライナ独自の防衛能力の強化、その復興と、さらにはEUへの統合でなければならない。同時に、新しいロシア政策を構築して、戦争に反対するロシア人エリートを取り込み、統合していく必要もあると説いている。

 

3.揺れ動く中国の立ち位置

■「欧州との関係改善」と「中ロ関係発展」の両睨み

ウクライナでの戦争が1年を超えて続く中で、中国は自らがどのような役割を担うべきか、明確な姿勢を示せないでいる。国際社会における自らの立ち位置についての中国の動揺が見られるのだ。

中国国際問題研究院欧州所所長の崔洪建は中国がヨーロッパとの協調関係を発展させる意義を説き、ウクライナ危機をめぐる両者の姿勢の違いによって中国と欧州の関係の発展を阻害すべきではないと論じる(3-①)。欧州諸国は、中国が「ロシアを公式に非難する」ことや、「対ロシア制裁に参加する」ことを求めているが、それは現実的ではない。ヨーロッパは感情的になって、自らの立場が唯一の正義だと考える傾向がある。崔洪建は、ロシア・ウクライナ戦争の行方に左右されることなく、その関係の重要性を考慮して、中国と欧州の関係を育む必要を説いている。

他方で、『環球時報』紙の2月21日の社説では、「中露友好は世界の財産である」と題して、混乱する国際情勢の中では中ロ関係の安定的な発展がむしろ世界の財産になると説いている。アメリカはウクライナへ軍事援助を行うことで火に油を注ぐ一方で、中国はむしろロシアとの安定した関係を維持して、建設的な役割を果たしていると唱えるのだ(3-②)。

ちょうどこのとき、中国共産党の王毅中央政治局委員が欧州諸国を訪問することになっていた。欧米が基本的にロシアとの関係を断っているのに対して、中ロ間で意見交換を行うことはむしろ、国際情勢の安定化や世界平和に利する。そもそもアメリカは、ロシア・ウクライナ戦争とは関係なく、それ以前から中ロ関係の発展を望んでいなかったではないか。あくまでも中ロ関係とは、二つの主権国家間の関係の範囲内の問題だというのが、この『環球時報』社説の骨子である。

また、王毅はロシア訪問だけでなく、ドイツのミュンヘンでドミトロ・クレバ外相とも会談を行い、政治的解決へ向けた提案を行っている。この社説は、世界が混乱して、ウクライナ戦争が複雑化する中で、中ロ関係の発展を資産であると位置づける。対話やコミュニケーションがなければ、地域や世界の問題解決には繋がらず、状況は悪化することを過去の多くの歴史経験が示しているとも強調する。だが、一方では欧州諸国との関係改善を望み、もう一方では中ロ関係を「世界の財産」と賞賛する中国が目指す外交の方向性が見えてこない。

中国の新しい外交部長(外相)のポストには、それまで駐米大使であった秦剛が就いた。秦剛は駐米大使としての自らの軌跡を回顧しながら、米中関係についての考えを『ワシントン・ポスト』紙に寄せている(3-③)。そこでは、「米中関係の発展は、外交部長としても重要な任務であり続ける」と述べ、世界全体での米中関係の重要性を強調する。また、米中関係は、一方が相手を打ち負かすようなゼロサムゲームではあってはならないと論じる。世界は、米中がともに発展し、繁栄するのに十分な広さを持つ。駐米大使の任務を終えるにあたって、詩人のT・S・エリオットの「終止符を打つということは、新たな始まりでもある」という言葉を引用して、外交部長としても米中関係の発展のために尽力する意気込みを示している。

だが、そのような秦剛の前向きな姿勢に反して、米中関係は前途多難である。今年2月には、中国の気球がアメリカ領空に侵入した事件が発生したことで、両国関係は冷却化した。復旦大学米国研究センター教授の張家棟は、『環球時報』紙に寄せた論稿で、この「不可抗力による偶発事件」に対するアメリカの反応を批判した(3-④)。張は、そのようなバイデン政権の「過剰な反応」をアメリカ国内政治の影響であると分析し、「アメリカ国内の反中勢力が、政権や世論を拉致している」と論じる。そもそも、物理的被害が出ていないのにも拘わらず、アメリカ政府が対立をエスカレートさせているのは常識から外れ、理性的ではないという。実際に、この気球事件は、一時的に改善に向かう気配が見られた米中関係を、悪化させる効果を有した。

■「モンロー主義のグローバル化」との見立て

もちろん問題は中国にある。韓国の保守系『朝鮮日報』紙の社説では、「他国の主権など眼中にない中国は、韓国の領空もかき回したはず」と題して、他国の主権や、領土、領空を尊重するという国際秩序の基本を守らない中国の行動を厳しく批判する(3-⑤)。この社説によれば、中国は世界全体で50カ国以上、100カ所以上の、いわゆる秘密警察署を極秘に運営し、さらには南シナ海で他国の領海に人工島を建設することで、その主権や領域を平然と侵犯している。また中国の偵察用気球については、「東アジアやヨーロッパで、少なくとも5つの大陸、40カ国以上で探知されている」というアメリカ政府の見解を引用している。

日本政府も、2020年および21年に自国領内で同様の偵察用気球を発見したことを明らかにしている。韓国もまた、米軍基地があることからも、そのような気球の偵察対象となるだろう。これまで対中関係を重視して、配慮を示すことが多かった韓国でも、近年は保守系のメディアを中心に、中国の傍若無人で他者の主権や領土を軽視する姿勢に苛立ちを示すことが多い。

米中関係の今後が困難であることは、中国国内でもしばしば指摘されている。中国の外交学院国際関係研究所教授の李海東による『環球時報』の論稿からも、米中関係の改善は多難であることがうかがえる(3-⑥)。そこでは、アメリカの「覇権外交」を厳しく批判して、それがかつてのモンロー主義がグローバル化した結果であり、世界全体で自らの価値を押しつけようとしていると論じる。アメリカの対外政策が、アメリカによる「覇権」、「覇凌(いじめ)」、「覇道」という、いわば「三覇」外交の性質を有するとして、それに抵抗するべきだと唱える。

李はまたアメリカの、民主主義を旗印とした「三覇」外交は、独特で危険な伝統が由来となっているという。すなわち、モンロー主義の世界的な適用である。いわば、アメリカのみが世界の問題に介入すべきだという、「グローバル・モンロー・ドクトリン化」だ。アメリカはNATO拡大を通じてヨーロッパのアメリカ依存を強めさせ、中東の紛争にも介入し、アジア太平洋地域では安全保障システムの構築により中国を弱体化させようとしていると指摘するのだ。

このように、中国では強力な「被害妄想」のようなものも見られる。それが、無人偵察気球事件に対する反応の背景にある。一方でアメリカの世界での行動を徹底して非難し、それに対抗する姿勢を示しながら、他方で米中関係の重要性と関係改善を求める中国の対外行動は、支離滅裂にも感じられるだろう。それは、中国政府内の異なる部局や、異なる立場によって、対米アプローチが大きく乖離しており、統一的な政策を有していないことの証左であろう。

4.グローバルサウスに向かう中国

■「途上国では最大の1人当たりGDPを誇る国」として

中国の秦剛外交部長は、新年最初の外国訪問先としてアフリカを選び、1月9日から16日までエチオピアやエジプトなどの5カ国を訪問している。それを受けて中国社会科学院西アジア・アフリカ研究所研究員の賀文萍は、『中美聚焦』誌に寄せた論稿の中で、新年の秦剛外交部長のアフリカ訪問は、中国外交がアフリカを重要視している表れであり、欧米諸国とは異なる歴史的背景を有する中国は、アフリカ諸国と対等な関係を構築しているのだと主張する(4-①)。そもそも、新年に中国の外交部長がアフリカ諸国を訪問することは、1991年の銭其琛以降の伝統となっており、中国・アフリカ関係が中国外交の「基礎の基礎である」と賀は説明している。われわれが通常考える以上に、中国とアフリカ諸国の絆は強いと捉えるべきだ。

中国は世界第2位の経済大国でありながら、その「途上国では最大の1人当たりGDP(国内総生産)を誇る国」という立ち位置に対して、西側列強の植民地支配からの独立と発展を目指すアフリカ諸国は親近感を抱くと指摘される。中国としても、「一帯一路」建設と「一つの中国」原則の堅持のためには、アフリカ諸国の支援が不可欠であろう。秦剛外交部長のアフリカ訪問を受けて、アフリカ連合(AU)のムーサ・ファキ・マハマト委員長は、「アフリカは平等の尊重を基に、国益のためにはすべての国と協力するべきだ」と述べている。欧米諸国は南北協力において条件付きで援助を行っているが、中国はアフリカと対等に接している。また、アフリカ諸国の内政に干渉することもない。中国はこのような形をとりながら、グローバルサウスの中核を占めるアフリカ諸国に対して、積極的に関係強化を試みていることが分かる。

■米企業は「有志連合」の中でも損をしている?

中国のこのような積極的な外交とは対照的に、グローバルサウスとの関係において先進諸国は依然として認識の乖離が垣間見える。アメリカの外交評論家のウォルター・ラッセル・ミードは、「世界はウィルソン主義的秩序を拒んでいる」と題する論評を『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙に掲載して、アメリカのアプローチを批判している(4-②)。欧米諸国がウィルソン主義的な理念を掲げて、民主主義や人権といった自らの理念を拡げようとしていることへの抵抗が、グローバルサウスでは色濃く見られるのだ。ブラジルやインド、南アフリカなどの諸国は、そのようなウィルソン主義のための「聖戦」に参戦することを望んでいない。いわば、そのような西側の「支配の道具」として、そのような理念が用いられることへの疑念が横たわっている。富裕な諸国の人々は、グローバルサウスがいかにして、西側の世界システムから疎外されているのかを理解できていない。かつてウッドロー・ウィルソン大統領が挫折したよりも、さらに大きな挫折を現代のウィルソン主義者たちが経験しないよう願っていると、ミードは警鐘を鳴らす。グローバルサウスにおいては、明らかに中国のようなアプローチが有効であることが、そこからは感じることができる。

ブッシュ(子)政権で財務長官を務めたヘンリー・ポールソンは、『フォーリン・アフェアーズ』誌に「アメリカの対中政策は機能していない」と題する論稿を掲載して、アメリカのデカップリング政策がアメリカの利益となるような米中協力の機会を損なっていると批判する(4-③)。そもそも、アメリカの同盟諸国も中国経済とのデカップリングを望んでいない。コロナ禍を契機として、アメリカと中国の両国は、相互の政治体制や政策を批判して、よりいっそう敵対視するようになった。米中関係はあらゆる局面で衝突をするようになり、そのことはアメリカ企業を同盟諸国のそれに比べて不利な立場に追い込んでいる。アメリカ政府は、アジアやヨーロッパの民主主義諸国と「有志連合」を結成して中国と対峙しようとしているが、アメリカほど極端なデカップリングを求めている国はいない。ポールソンによれば、部分的な対中規制やデカップリングは不可避だが、アメリカは経済の領域で「鉄のカーテン」を下ろすべきではない。むしろ、中国と交渉をしてでも、アメリカがグローバルな市場で有利となるような機会を得るべきである。ジョー・バイデン大統領は、中国よりもむしろアメリカに対してより大きな不利益をもたらすような現在の政治的風潮に抵抗するべきだと主張する。

同様に、新米国安全保障センター(CNAS)副所長のポール・シャーレもとりわけ半導体の領域での包括的な対中輸出規制が、かえってアメリカから独立した半導体供給網を中国が構築する好機を与えてしまうとして、バイデン政権のデカップリング政策を批判する(4-④)。昨年10月にバイデン政権は、包括的な対中半導体輸出規制策を発表した。だがこの措置は、すでに多くの論者が指摘するように、アメリカの安全保障をむしろ害する可能性があり、中国をアメリカの技術に依存させた状態を継続させておくほうがむしろ望ましいとする。このようなアメリカの措置は、中国を中心とした新しいサプライチェーンや、半導体供給網の構築を促進する。アメリカの友好国からだけではなく、アメリカ国内からもそのようなアメリカのデカップリング政策への批判が見られることに、留意すべきであろう。

■イラン大統領が『人民日報』に寄稿

他方で、ブッシュ(子)政権で国務副次官補を務めた、現在カーネギー国際平和財団副所長のエヴァン・ファイゲンバウムと、財務省外国資産管理局長を務めたアダム・シュビンの共著論文「中国がウクライナ戦争から学んできたこと」は、中国が台湾侵攻を行った場合、西側諸国の包括的な経済制裁は中国にとって巨大な打撃になると予測する(4-⑤)。今回のウクライナ侵略に際して、ロシアは、2014年のクリミア併合の際とは比較にならない規模の制裁、すなわち資産凍結、金融制裁、SWIFT(国際銀行間通信協会)からの排除を受けることになった。すでに深く国際経済に埋め込まれている中国が、中国独自の国際決済システムや人民元に、西側経済を代替させることは不可能に近い。アメリカは、自らが持つ最大の「経済的武器」が、そのような経済制裁を可能とするような「国際的パートナーシップ」であることを自覚すべきであると二人はいう。そして、そのことは中国が武力を行使する可能性を低減させるかもしれないのだ。

アメリカによる対中デカップリング政策は、結果として、中国外交がよりいっそう欧米諸国から離れて、グローバルサウス諸国との関係を強化する方向へと向かわせる作用を果たしている。

たとえば、今年の2月14日からイランのエブラーヒーム・ライースィー大統領は中国を訪問して、習近平国家主席との首脳会談を行っている。ライースィー大統領はその機会に『人民日報』紙に寄稿して、アメリカの「覇権主義」への反対を表明した。また、西側諸国を牽制するとともにイランと中国の長い歴史と友好関係に触れて、「一帯一路」構想に基づいた中国との協力関係の強化を語っている(4-⑥)。ライースィー大統領は、イランと中国はシルクロードを通じて輝かしい歴史を紡ぎ、人類の共同幸福のために協力し、歴史上に美しい記憶を遺したのだと述べ、現在中国が進めている、シルクロードを復活させる「一帯一路」構想は、再び両国の運命を結びつけているという。そしてイランと中国は、単独行動主義や暴力的手段の行使が世界的な危機や不安の根源となっていることからも、むしろ多国間主義や公正な国際秩序を実現するために協力していくべきだと論じられている。おそらく、ここで書かれているように、イランはアメリカと外交関係が存在せず、依然として敵対的な対立状態が続いていることもあり、国際的孤立から脱するためには中国との関係強化が有益と考えているのだろう。それはまた、中国が仲介役となって、7年前に外交を断行していたイランとサウジアラビアが再び外交関係樹立と関係改善へと動き始めたこととも無関係ではない。アメリカに代わって、中東では中国が中心的な大国として信頼を集めつつあることを、日本と欧米諸国は無視すべきではない。

5.混迷する台湾情勢

■認知戦による攻撃が総統選に向けて活発化

そのような中国にとっての最大の懸案が、台湾の将来、そして「一つの中国」原則の動揺であろう。

昨年8月のナンシー・ペロシ米国下院議長の台湾訪問は、中国による強い批判や反発を招く結果となった。昨年秋のアメリカ中間選挙の際に共和党のケヴィン・マッカーシー下院議員が中国を批判して、下院議長に就任した場合には自らが台湾訪問を行うことを公約に掲げたことは、中台関係にさらなる波紋を拡げていた。台湾のメディアでは、どのように両岸関係を進めていくべきかをめぐり、さまざまな論考が見られた。

民進党に近い『自由時報』紙では、2月8日の社説の中で、ロシアと中国がルールに基づいた国際秩序を自らに都合の良いように書き換えるために、地球上のあらゆる場所に意図的に「レッドライン(紅線)」を引いていると批判する。いわば、他国に対して中国は、何をして良くて、何をしてはいけないかを指図し、常に警告をしているのだ(5-①)。他方で中ロ両国ともに、国際的なルールや協定に対して、自らは選択的にしか遵守していないとも同社説は指摘する。たとえばロシアは2014年のミンスク合意を無視しており、さらに中国は香港に対する1984年の英中共同声明での「一国二制度」を返還後50年は保障するという自らの約束を反故にした。

確かに、西側諸国はそのようなロシアや中国に対して自らの「レッドライン」を引き、その行動を阻止し警告しなければ、状況はよりひどくなるだろう。最近ではバイデン大統領が、中国が台湾を軍事攻撃した場合に、アメリカは台湾を守ると明言し、中国の繰り返しの挑発的な行動に対するアメリカの「レッドライン」を明らかにした。北京の設定する「レッドライン」に一方的に屈するのではなく、相手の挑発に対して一線を画することによってのみ、台湾海峡の安定と平和を確保することができるはずだ。

ところで、昨年11月26日に台湾で行われた、4年に1度の統一地方選挙では、与党の民進党が敗北して、野党の国民党が議席を増やした。もともと国民党が地方では強固な地盤を有しているとはいえ、それを受けて従来の台湾の両岸政策を修正する必要も指摘されるようになった。例えば、国民党寄りと見られる『中国時報』の2月10日の社説は、蔡英文政権がよりいっそうビジネス・コミュニティの要望にも耳を傾けて、両岸関係の改善に努力するべきだと主張する(5-②)。今年の春節前後から政府はコロナ禍で停止していた台中間の交流を再開すると表明した。この社説ではそれを良い潮流だと評価して、対中政策を政府の最優先事項にするべきだという。

他方、1月6日付の『自由時報』紙の社説では、今回の統一地方選挙では民進党は、「戦争を煽っている」と野党から批判されることで、獲得票が減少したと総括される(5-③)。来年の台湾での総統選挙に向けて、中国はよりいっそう台湾に圧力をかけてくるであろう。この社説によれば、地方レベルでの選挙では与野党間での政策の違いが限られていることからも、戦争の恐怖を煽るような認知戦の影響が大きくなるという。統一地方選挙でも、蔡英文政権が戦争を煽っているという認知戦による攻撃によって、有権者の不安が拡大したのであろう。

中国は侵略目標を放棄しておらず、常に脅威であるということは変わらない。とりわけ来年の国政選挙に至るまで認知戦を強化するであろう。「戦争を煽っている」という批判に過敏になり、台湾が自らの行動を制限するようになれば、それはまさに中国の罠にはまることを意味している。このようにして、台湾内部で深刻な対中政策の亀裂が見られることも、台湾の将来を考える際の不安材料であろう。

■抑止力の強化こそが優先との指摘
懸念すべきは、中国による認知戦のみではない。1月9日、アメリカのシンクタンクの戦略国際問題研究所(CSIS)は台湾有事に関するシミュレーションの報告書を発表して、注目された。「来たる戦争の緒戦―机上演習から見る中国の台湾侵攻」と題する165ページにもなるこの報告書は、中国が強襲上陸作戦による侵略を試みた際に、どのような結果がもたらされるかを克明に予測している(5-④)。アメリカと台湾、日本は、多くのパターンで中国の侵略を阻止して台湾独立を守ることに成功するが、それはあまりにも巨大な犠牲を伴うものとなる。アメリカとその同盟国は、数十隻の艦艇、数百機の戦闘機、そして数万人もの兵士の人命を失うことになる。アメリカは戦争後、グローバルな地位を低下させ、また中国も大きなダメージを受けて共産党の正統性が揺らぐことになる――このような結果を示したシミュレーションが導くのは、戦争を起こさないような抑止力の強化が最優先事項ということだ。アメリカや日本は、両国間の外交協力、軍事協力を深め、さらには台湾の地上兵力増強を支援し、日本やグアムでの軍事基地の能力と抗堪性を高める必要がある。

そのような潮流の中で、2月20日の『ワシントン・ポスト』紙では、かつて国務省政策企画室のスタッフも務めたコーネル大学のジェシカ・チェン・ワイス教授が、「アメリカは台湾問題をめぐり中国を刺激するのではなく、抑止すべきだ」と題する論考を寄せた。そこでは、「一つの中国」政策を撤廃することへの懸念を表明して、アメリカは戦わずに勝てる方法を模索するべきだと提案する(5-⑤)。まずは、戦争は不可避だという想定から抜け出すことが重要で、抑止力の強化こそが優先されるべき選択肢だとワイスは主張する。確かに、中国政府の台湾をめぐる意向がどのようなものか、正確に理解することは難しい。だが、アメリカ国内でも、中国国内でも、戦争を回避しながらも自らの戦略目標を実現するべきだという認識が主流であることは、見て取れるのではないか。

【主な論文・記事】
1.なぜ戦争が長く続くのか

Lawrence Freedman, “Kyiv and Moscow Are Fighting Two Different Wars: What the War in Ukraine Has Revealed About Contemporary Conflict(キーウとモスクワは異なった戦争を戦っている―ウクライナでの戦争が明らかにした現代戦)”, Foreign Affairs, February 17, 2023, https://www.foreignaffairs.com/ukraine/kyiv-and-moscow-are-fighting-two-different-wars
Richard Haass, “Why the War Will Continue(なぜ戦争がこれからも続くのか)”, Project Syndicate, February 23, 2023, https://www.project-syndicate.org/commentary/russia-ukraine-war-no-appetite-for-compromise-by-richard-haass-2023-02
Michael McFaul, “Are we seeing the beginning of the end of Putinism?(我々はプーチニズムの終焉を目撃しているのか)”, The Washington Post, January 24, 2023, https://www.washingtonpost.com/opinions/2023/01/24/putin-ukraine-war-legitimacy-support/
Dara Massicot, “Russian Troops Know How Little They Mean to Putin(ロシア軍は⾃分たちがプーチンにとっていかに矮⼩な存在かを知っている)”, The New York Times, February 22, 2023, https://www.nytimes.com/2023/02/22/opinion/russia-army-ukraine.html
Vladislav Zubok, “No One Would Win a Long War in Ukiraine(ウクライナにおける⻑期戦に勝者はいない)”, Foreign Affairs, December 21, 2022, https://www.foreignaffairs.com/ukraine/no-one-would-win-long-war-ukraine
Andriy Zagorodnyuk, “The Case for Taking Crimea(クリミア奪還の場合)”, Foreign Affairs, January 2, 2023, https://www.foreignaffairs.com/ukraine/case-taking-crimea
Mary Elise Sarotte, “ʻNot one inchʼ: unpicking Putinʼs deadly obsession with the details of history(「1インチも」 ―歴史の詳細に関するプーチンの致命的な執着を解き明かす)”, Financial Times, February 17, 2023, https://www.ft.com/content/24f81b4d-420e-4217-b498-cf13c6e254f2

2.重みが増すヨーロッパの責任

Roberta Metsola, “Roberta Metsola : « LʼUkraine, cʼest lʼEurope, et lʼEurope, cʼest lʼUkraine »(ウクライナはヨーロッパであり、ヨーロッパはウクライナである)”, Le Monde, February 22, 2023, https://www.lemonde.fr/idees/article/2023/02/22/roberta-metsola-lukraine-c-est-l-europe-et-l-europe-c-est-l-ukraine_6162862_3232.html
Manuel Valls “Manuel Valls : «LʼUkraine, résister ou se soumettre»(ウクライナ、抵抗か服従か)”, Le Figaro, February 9, 2023,https://www.lefigaro.fr/vox/monde/manuel-valls-l-ukraine-resister-ou-se-soumettre-20230209
Josep Borrell, “Making Ukrainian Victory Possible(ウクライナの勝利を実現するために)”, Project Syndicate, February 2, 2023, https://www.project-syndicate.org/commentary/ukraine-victory-over-russia-requires-more-military-other-forms-of-support-by-josep-borrell-2023-02
Luis Simón, “The Ukraine War and the Future of the European Unionʼs Security and Defense Policy(ウクライナ戦争とEUの安全保障・防衛政策の⾏⽅)”, CSIS, January 30, 2023,https://www.csis.org/analysis/ukraine-war-and-future-european-unions-security-and-defense-policy
Gilles Paris, “Vingt ans après l’invasion de l’Irak, la guerre est dans toutes les têtes, et tout le monde vient de Mars(イラク侵攻から20年、戦争は皆の頭の中にある、そして皆は「戦争の神(マース)」からやってきた)”, Le Monde, January 11, 2023, https://www.lemonde.fr/idees/article/2023/01/11/vingt-ans-apres-l-invasion-de-l-irak-la-guerre-est-dans-toutes-les-tetes-et-tout-le-monde-vient-de-mars_6157380_3232.html
Franz-Stefan Gady, “Will Leopard 2 tanks actually boost Ukraine’s battlefield chances?(レオパルト2は、ウクライナの戦力強化につながるか?)”, Financial Times, January 25, 2023, https://www.ft.com/content/7a545cda-3dd8-408d-b676-0977d0b204db
Stefan Meister and Wilfried Jilge, “Nach der Ostpolitik(オストポリティークの後)”, DGAP, December 6, 2022, https://dgap.org/de/forschung/publikationen/nach-der-ostpolitik

3.揺れ動く中国の立ち位置

崔洪建(Cui Hongjian)「别再让乌克兰危机绑架中欧关系(ウクライナ危機が欧中関係を再び拉致するべきでない)」、『环球⽹』、2023年1⽉4⽇、 https://opinion.huanqiu.com/article/4B8sA2Ylgml
「中俄友好,这是世界的正资产(中ロ友好は世界の財産である)」、『环球⽹』、2023年2⽉21⽇、 https://opinion.huanqiu.com/article/4BmekJaFWfp
Qin Gang, “Qin Gang: The planetʼs future depends on a stable China-U.S. relationship(秦剛―地球の未来は安定した⽶中関係にかかっている)”, The Washington Post, January 4, 2023,
https://www.washingtonpost.com/opinions/2023/01/04/qin-gang-chinese-foreign-minister-ambassador-goodbye/
張家棟(Zhang Jiadong)「中⽅对等反制,美⽅更应反思其⽆上限炒作(中国が対抗措置に出る中、アメリカは無限の誇張を反省するべきだ)」、『环球⽹』、2023年2⽉16⽇、https://opinion.huanqiu.com/article/4Bie1wNnTil
[사설] 남의 주권은 안중에 없는 中, 한국 영공도 휘저었을 것 [社説](他国の主権など眼中にない中国は、韓国の領空もかき回したはず)、『朝鮮⽇報』、2023年2⽉11⽇、https://www.chosun.com/opinion/editorial/2023/02/11/23LZT6SI6JCBBKPHSE2HLEA6ZY/
李海東(Li Haidong)「美国“三霸”外交贻害世界(アメリカの三覇外交は世界へ損害をもたらす)」、『环球⽹』、2023年2⽉14⽇、https://opinion.huanqiu.com/article/4BgxXp2ofEU

4.グローバルサウスに向かう中国

賀文萍 (He Wenping) 「中国外长新年⾸访⾮洲:新⾯孔传承⽼传统(中国外交部⻑が新年にアフリカを初訪問:新たな顔が受け継ぐ伝統)」、『中美聚焦』、2023年1⽉17⽇、 http://cn.chinausfocus.com/foreign-policy/20230117/42757.html
Walter Russell Mead, “The World Rejects the Wilsonian Order(世界はウィルソン主義的秩序を拒んでいる)”, The Wall Street Journal , February 6, 2023, https://www.wsj.com/articles/the-world-rejects-the-wilsonian-order-global-south-lula-putin-ukraine-international-organizations-woodrow-wilson-united-nations-11675720087
Henry M. Paulson, Jr., “Americaʼs China Policy Is Not Working(アメリカの対中政策は機能していない)”, Foreign Affairs, January 26, 2023,
https://www.foreignaffairs.com/china/americas-china-policy-not-working
Paul Scharre, “Decoupling Wastes U.S. Leverage on China(デカップリングはアメリカが持つ中国へのレバレッジを浪費する)”, Foreign Policy, January 13, 2023, https://foreignpolicy.com/2023/01/13/china-decoupling-chips-america/
Evan A. Feigenbaum and Adam Szubin, “What China Has Learned From the Ukraine War(中国がウクライナ戦争から学んできたこと)”, Foreign Affairs, February 14, 2023,
https://www.foreignaffairs.com/china/what-china-has-learned-ukraine-war
易⼘拉欣·莱希(Ebrahim Raisi)「⽼朋友是未来合作的最好伙伴(旧友は未来の協⼒のための最良のパートナーである)」、『⼈⺠⽹』、2023年2⽉13⽇、http://cpc.people.com.cn/n1/2023/0213/c64387-32622338.html

5. 混迷する台湾情勢

社説「紅線(レッドライン)」、『自由時報』、2023年2月8日、
https://talk.ltn.com.tw/article/paper/1565776
社説「蔡政府應奉兩岸政策為上位(蔡政権は対中政策を最優先すべきだ)」、『中国時報』、2023年2⽉10⽇、 https://www.chinatimes.com/opinion/20230210004014-262101
社説「抗中保台要更落實⽽⾮調整 (中国に対抗して台湾を守る戦略は調整するよりも具体化すべきだ)」、『⾃由時報』、2023年1⽉6⽇、
https://talk.ltn.com.tw/article/paper/1561140
Mark F. Cancian, Matthew Cancian, Eric Heginbotham, “The First Battle of the Next War: Wargaming a Chinese Invasion of Taiwan(来たる戦争の緒戦ー机上演習から見る中国の台湾侵攻)”, CSIS, January 9, 2023, https://www.csis.org/analysis/first-battle-next-war-wargaming-chinese-invasion-taiwan
Jessica Chen Weiss, “The U.S. should deter ̶ not provoke ̶ Beijing over Taiwan. Hereʼs how.(アメリカは台湾問題をめぐり中国を刺激するのではなく、抑止すべきだ。その方策)”, The Washington Post, February 20, 2023, https://www.washingtonpost.com/opinions/2023/02/20/us-deter-beijing-taiwan/

(Photo Credit: Reuters / Aflo)

Yuichi Hosoya Group Head, Europe & Americas/Director of Research, Asia Pacific Initiative
Director, International House of Japan
Yuichi Hosoya is professor of international politics at Keio University, Tokyo. Professor Hosoya was a member of the Advisory Board at Japan’s National Security Council (NSC) (2014-2016). He was also a member of Prime Minister’s Advisory Panel on Reconstruction of the Legal Basis for Security (2013-14), and Prime Minister’s Advisory Panel on National Security and Defense Capabilities (2013). Professor Hosoya studied international politics at Rikkyo (BA), Birmingham (MIS), and Keio (Ph.D.). He was a visiting professor and Japan Chair (2009–2010) at Sciences-Po in Paris (Institut d’Études Politiques) and a visiting fellow (Fulbright Fellow, 2008–2009) at Princeton University. [Concurrent Position] Professor, Faculty of Law, Keio University
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Yuichi Hosoya

Group Head, Europe & Americas,
Director of Research, Asia Pacific Initiative
Director, International House of Japan

Yuichi Hosoya is professor of international politics at Keio University, Tokyo. Professor Hosoya was a member of the Advisory Board at Japan’s National Security Council (NSC) (2014-2016). He was also a member of Prime Minister’s Advisory Panel on Reconstruction of the Legal Basis for Security (2013-14), and Prime Minister’s Advisory Panel on National Security and Defense Capabilities (2013). Professor Hosoya studied international politics at Rikkyo (BA), Birmingham (MIS), and Keio (Ph.D.). He was a visiting professor and Japan Chair (2009–2010) at Sciences-Po in Paris (Institut d’Études Politiques) and a visiting fellow (Fulbright Fellow, 2008–2009) at Princeton University. [Concurrent Position] Professor, Faculty of Law, Keio University

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