トランプ政権トラッカー:大統領令の概要と解説 No.12(2025年4月3日-4月8日)

・【一覧】トランプ政権トラッカー(大統領令・布告・覚書・発表)
大統領令一覧
中国との相互関税の改定と、少額輸入品に適用される関税義務の更新を命じる大統領令(4月8日)
トランプ大統領は、中国による報復関税の発表を受け、さらなる関税措置で対抗するよう命じた。具体的には、対中関税を関税率表(HTSUS)上で34%から84%まで引き上げ、また少額輸入品については以前の30%から90%まで引き上げ、郵便物についても以前の25ドルから5月2日以降は75ドルまで、6月1日以降は150ドルまで引き上げる。(大統領令はこちら)
石炭産業の活性化に向けて、石炭を大統領令14241が規定する「鉱物」として扱う大統領令(4月8日)
トランプ大統領は、石炭火力発電や石炭輸出に注力するため、3/20の「米国の鉱物生産を迅速に増加させるための大統領令」における「鉱物」の地位に石炭を追加した。これにより、石炭生産・発電の拡大についての政策提案やあらゆる障壁の緩和・撤廃、輸出機会の開拓・促進などのほか、石炭関連技術の開発・導入・商業化が進められる。(大統領令はこちら、ファクトシートはこちら)
地方政府の過剰な規制・政策からアメリカのエネルギーを保護することを命じる大統領令(4月8日)
トランプ大統領は、州や地方政府による「気候変動対策」に基づくエネルギー規制や抑制政策が、米国のエネルギー優位性にとって脅威であるとして対応を命じた。具体的には、特に「ESG」や「環境正義」「温室効果ガス」「炭素税」に関する州法や政策の特定、またそれらの執行阻止のための勧告を行うよう司法長官に命じている。(大統領令はこちら、ファクトシートはこちら)
米国の電力網の信頼性・安全性強化を命じる大統領令(4月8日)
トランプ大統領は、AI分野や製造業の強化に伴い電力需要が急増している現状を踏まえ、十分かつ安全で安定した電力供給体制の構築に向けて、あらゆる資源を活用するよう命じた。具体的には、関連措置の実施に向けたプロセスの迅速化、電力予備力の分析・評価、地域ごとの発電リソースの特定と確保などを指示している。(大統領令はこちら、ファクトシートはこちら)
TikTok禁止の執行を延期する大統領令(4月4日)
この大統領令は、1月20日の大統領令で法の執行停止が命じられていたTikTok禁止法について、さらに75日間の延期を命じ、執行猶予期間を2025年6月19日まで延長するもの。(大統領令はこちら)
布告・覚書・公式発表一覧
アメリカのエネルギーを強化するため、石炭火力発電に対する規制緩和を命じる布告(4月8日)
トランプ大統領は、環境保護庁による「水銀・大気有害物質基準(MATS)」の規制強化(2024年5月)が石炭火力発電に過度な負担をかけ、電力の安定供給を脅かすとして、一部の発電所に対しその適用を2年間猶予する措置を発表した。これにより、本来2027年7月から義務化されるはずだった新基準の適用が、2029年7月まで延期される。(布告はこちら、ファクトシートはこちら)
ハドソン研究所における大統領経済諮問委員会(CEA)委員長スティーブ・ミランの講演(4月7日)
大統領経済諮問委員会(CEA)のスティーブ・ミラン委員長は、ハドソン研究所のイベントにて、現在の国際経済と米国の政策について見解を示した。具体的には、米国がこれまで安全保障と金融の両面で世界経済の基盤を提供してきたとの認識を示したうえで、今後はその負担を地球規模で分担し、世界全体のレジリエンスを高める必要があると述べた。また、こうした取り組みを主導する立場にある米国においては、製造業をはじめとする国内基盤の再建が不可欠であることも強調した。(詳細はこちら)
連邦政府機関におけるAIの利活用と調達についての新しい政策方針(4月7日)
ホワイトハウスの行政管理予算局 (OMB)は、1/23の大統領令に従って、連邦政府におけるAIの利活用と調達の政策を改定した。発表においては、官僚機構的制約を排除し、効率が高く競争力のある米国AI市場を目指すことが示されている。(発表(OMB文書付き)はこちら、ファクトシートはこちら)
USスチール買収計画の再審査を命じる覚書(4月7日)
トランプ大統領は、対米外国投資委員会 (CFIUS) に対し、日本製鉄によるUSスチール買収計画を再審査するよう命じた。審査の過程では、CFIUSが特定する安全保障上のリスクに対して買収計画当事者が対処する余地もあるとされ、それらを総合的に勘案して45日以内にCFIUSによる大統領への勧告が行われる。(詳細はこちら)
2025年・命を分け合う月間に関する布告(4月3日)
この布告は、2025年4月を「命を分け合う月間」と宣言し、臓器提供者を称え、臓器提供の登録を呼びかけている。(詳細はこちら)
2025年・全米児童虐待防止月間に関する布告(4月3日)
この布告は、アメリカの子どもたちの幸福と安全を守るための取り組みを強化するため、2025年4月を「全米児童虐待防止月間」と宣言している。なお、米国が直面している最も広範な児童虐待の一形態として性別イデオロギーを挙げ、性転換手術は「邪悪で逆行的な嘘」と非難している。(詳細はこちら)
国家薬物取締政策局(ONDCP)による、トランプ政権の薬物政策の優先事項に関する声明(4月3日)
ホワイトハウスの国家薬物取締政策局(ONDCP)は、トランプ政権の薬物政策における6つの優先事項を発表した。6つの優先事項とは、(1)フェンタニルに焦点を当てた過剰摂取死亡者の減少(2)麻薬密輸に対抗するグローバルな供給網の確保(3)麻薬の越境と地域社会への流入防止(4)麻薬使用の予防(5)長期的回復につながる治療の提供(6)薬物対策戦略を支える研究とデータの革新、である。(詳細はこちら)
「アメリカ第一」貿易政策に関する大統領への報告(エグゼクティブサマリー)(4月3日)
4月1日、1月20日付の「『アメリカ第一』貿易政策の推進」覚書、2月13日付の「相互貿易と関税に関する覚書」、さらに2月21日付の「米国企業およびイノベーターを海外からの収奪や不当な罰金・制裁から守るための覚書」に基づいて行われた調査・分析の結果に関する報告書がトランプ大統領に提出された。報告書本体は非公表だが、エグゼクティブサマリーがホワイトハウスウェブサイトに掲載された。(詳細はこちら)
2025年・がん対策月間に関する布告(4月3日)
この布告は、「アメリカを再び健康にする委員会」の設立を始めとするトランプ政権下の取り組みを強調しつつ、がん患者の強さと勇気を称え、2025年4月を「がん対策月間」と宣言している。(詳細はこちら)
全米性暴力防止・啓発月間に関する布告(4月3日)
この布告では、近年の性暴力の主な要因の一つとして不法移民の増加が挙げられたうえで、2025年4月を「全米性暴力啓発・防止月間」とすると宣言されている。(詳細はこちら)
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