特集「2025年 トランプ政権は世界を変えるのか:岐路に立つ民主主義」開設に寄せて
第一次トランプ政権の際には、日本では安倍晋三首相が、2016年大統領選挙でのトランプ共和党大統領候補の勝利の後に、最初にオンラインで祝賀のメッセージを伝え、さらには直後のニューヨーク訪問によるトランプ次期大統領との面会をしたことで、比較的安定的に日米関係を発展させることができました。また、2016年8月に安倍首相が発表した「自由で開かれたインド太平洋」構想は、トランプ大統領の強い支持を受けて、日米両国で推進する地域戦略となりました。日米豪印「クアッド」の枠組みの発展と合わせて、日本のなかではトランプ政権との付き合い方に対する楽観論が広がっています。しかしながら、第一次トランプ政権で日本政府が窓口とした多くの外交・安全保障に精通した政府高官は第二次政権には入る見通しがなく、また安倍首相と現在の石破茂首相ではトランプ大統領との個人的な友好関係の発展のアプローチにも大きな違いが見られるでしょう。
はたして、トランプ政権はどのように世界を変えていくのでしょうか。2025年の本特集では、2024年の「選挙は世界を変えるのか」の特集に続いて、「岐路に立つ民主主義」について、第二次トランプ政権の動向をウォッチすることによって、その方向性を分析していきます。
特集ページ「2025年 トランプ政権は世界をかえるのか」
細谷雄一(地経学研究所研究主幹/欧米グループ長)
欧米グループ・グループ長
立教大学法学部卒業、英国バーミンガム大学大学院国際学研究科修了(MIS)、慶應義塾大学大学院法学研究科修士課程および博士課程修了。博士(法学)。北海道大学法学部専任講師、敬愛大学国際学部専任講師、プリンストン大学客員研究員(フルブライト・フェロー)、パリ政治学院客員教授(ジャパン・チェア)などを経て現職。安倍晋三政権において、「安全保障と防衛力に関する懇談会」委員(2013年)、および「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」委員(2013年-14年)、国家安全保障局顧問会議顧問(2014年-16年)を歴任。自民党「歴史を学び、未来を考える本部」顧問(2015年-18)。 【兼職】 公益財団法人国際文化会館理事 アジア・パシフィック・イニシアティブ研究主幹 慶應義塾大学法学部教授
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