トランプ政権トラッカー:大統領令の概要と解説 No.11(2025年3月26日-4月2日)

トランプ政権トラッカーの一覧(2025年1月20日~)
・【一覧】トランプ政権トラッカー(大統領令・布告・覚書・発表)
大統領令一覧
中国からの合成オピオイド供給網への対処として、「de minimis制度」を終了する大統領令(4月2日)
トランプ大統領は、合成オピオイド流入への中国側の対処が不十分であるとし、中国からの輸入における「de minimis制度」を停止するよう命じた。これは以前の大統領令で施行が見送られていた措置を改めてとるものである。(大統領令はこちら、ファクトシートはこちら)
■解説付き■ 相互関税:米国の莫大な貿易赤字を引き起こす貿易慣行を是正するため、相互関税を通じて輸入を規制する大統領令(4月2日)
トランプ大統領は、長年にわたる不均衡な貿易構造が、製造業の空洞化や供給網の脆弱化を招き、国家安全保障上の重大な脅威になっているとして、国家非常事態を宣言した。本大統領令は、2025年2月に発出された「互恵的貿易と関税に関する覚書」を受けた具体的な対応措置となる。新たに導入される「相互関税」制度では、すべての貿易相手国からの輸入品に対し、基本税率10%が4月5日から、さらに国ごとの貿易慣行に応じた追加関税が4月9日から適用される。日本に対しては14%の追加関税が課され、合計で24%の関税となる。また、これまでに発出された貿易関連の大統領令や覚書のうち、本令と矛盾するものについては、(一律ではなく)必要に応じて停止・修正・廃止の対象とされる。(大統領令はこちら、ファクトシートはこちら、関連記事はこちら)
解説
トランプ政権の主要な政策目標である貿易赤字の解消を目指した「相互関税」ではあるが、実際は「相互」ではなく、各国との貿易赤字額と対米輸出額を根拠として産出された関税率が適用されている。この中にすでに25%の関税が適用されているカナダとメキシコは含まれておらず、3月2日に出された大統領令(EO14227、EO14226)に基づき、USMCAに該当する品目に関しては0%の関税を継続することとなっている。また、ロシア、ベラルーシ、北朝鮮といった制裁対象国は含まれていないが、アメリカが一方的に制裁を科しているイランは含まれている(12%)。また、実際には貿易が存在していない無人島(Heard and McDonald Islands)などにも関税率が適用されているが、これは機械的に関税コードが付与されている国や地域を対象にしてデータを作成した結果だと思われる。このように、一方的かつ機械的に決定された関税率であるため、米国と各国の関係性などは入る余地がないが、今後の交渉次第では関税率を変える可能性があることも示唆している。特にUSMCAのような既存の協定が尊重されることを踏まえ、同じく自由貿易協定を持つ韓国や、物品貿易協定のある日本は十分交渉の余地があるものと思われる。(鈴木一人)
ライブエンターテインメント市場における不公正な慣行を撲滅する大統領令(3月31日)
この大統領令は、ライブエンターテインメント市場における中間業者による価格の釣り上げに対処するため、司法長官および連邦取引委員会(FTC)に対し、競争法の執行、転売市場の監視、必要な法整備の提言を行うよう指示している。(大統領令はこちら、ファクトシートはこちら)
米国投資促進機関を設立する大統領令(3月31日)
この大統領令は、米国への投資を促進するため、商務省内に米国投資促進機関(インベストメント・アクセラレーター)を設立し、10億ドル以上の投資案件を対象に、規制手続きの効率化や規制負担の軽減などを指示している。(大統領令はこちら、ファクトシートはこちら)
コロンビア特別区を安全で美しい街にする大統領令(3月28日)
この大統領令は、米国の首都ワシントンD.C.を美しく清潔で安全な空間とするため、タスクフォースを設置し、不法移民の取り締まり強化、犯罪抑止策の推進、破損・落書きされた施設の修復などについて取り組むよう命じている。(大統領令はこちら、ファクトシートはこちら)
連邦労使関係プログラムから除外する大統領令(3月27日)
この大統領令は、米国の国家安全保障を強化するため、諜報活動、防諜活動、調査、または国家安全保障に関連する業務を行う機関や組織を、連邦政府の労使関係プログラムから除外するよう指示している。(大統領令はこちら、ファクトシートはこちら)
アメリカの歴史に真実と正常さを取り戻す大統領令(3月27日)
この大統領令は、米国の歴史や功績を歪める修正主義的な動きが強まっているとして、スミソニアン協会を改革し、不適切なイデオロギーの影響を排除したり、一部の記念碑や像の復元を検討したりするなど、連邦政府の歴史関連施設を国家の偉業を称える場とするよう命じている。(大統領令はこちら、ファクトシートはこちら)
WilmerHale法律事務所のリスクに対処するための大統領令(3月27日)
この大統領令は、他の大手法律事務所と同様に、WilmerHale法律事務所も米国の正義と利益を損なう行為に関与しているとして、同事務所の職員のセキュリティクリアランスの見直しと連邦政府との契約の再検討を命じている。(大統領令はこちら、ファクトシートはこちら)
布告・覚書・公式発表一覧
2025年世界自閉症啓発デー(4月2日)
トランプ大統領は、4月2日の世界自閉症啓発デーを布告し、国民に対し自閉症への理解を深めるよう求めた。またアメリカで自閉症を持つ人々の割合が以前より大きくなっていることを挙げ、自政権の健康増進政策と結び付けて対処する旨強調した。(詳細はこちら)
「関税は効果あり:トランプ第一次政権の成果がそれを物語っている」(4月2日)
ホワイトハウスは、トランプ第一次政権で行われた関税政策が輸入依存の低減、国内産業の活性化などの効果を生んだとし、今後の関税政策の正当性を主張した。(詳細はこちら)
「トランプ大統領の『力による平和』は安全保障を軌道修正し、成果をもたらしている」(4月1日)
ホワイトハウスは、トランプ大統領就任後の安全保障面の成果を前政権の4年間より優れたものとして強調した。具体的には、メキシコ国境での不法越境阻止や南米諸国への本国送還圧力、ISIS指導者の摘発、イランおよびフーシ派への攻撃、パナマに対する対中包囲網の強化、ガザでの停戦仲介と人質解放、さらにロシアとウクライナの和平交渉再開の実現など、多岐にわたる地域・分野での取り組みを挙げた。(詳細はこちら)
第10週の勝利:トランプ大統領が築くアメリカの黄金時代(3月28日)
ホワイトハウスは、トランプ政権第10週の成果として、不法移民の逮捕、自動車・部品への25%関税の導入、米国主導によるロシア・ウクライナの黒海停戦合意、国内行政改革のさらなる推進など、多岐にわたる成果を強調した。(詳細はこちら)
ホワイトハウス科学技術政策局長マイケル・クラツィオス氏宛の書簡(3月26日)
この書簡では、米国が科学技術分野において優位性を保つため、ホワイトハウス科学技術政策局に対して3つの課題に取り組むよう指示している。3つの課題とは(1)AI、量子技術、核技術といった重要な新興分野で米国が優位性を維持すること(2)研究者が革新的な発見に集中できるよう、科学技術分野の再活性化を図ること、(3)科学的進歩と技術革新を経済成長へと結びつけることである。(詳細はこちら、プレスリリースはこちら)
自動車及び自動車部品の輸入調整に関する布告(3月26日)
この布告は、自動車およびその部品の輸入が国家安全保障上の脅威になり得るとの判断を受け、関税措置によってその是正を図るものである。具体的には乗用車・小型トラック・自動車の主要部品に対して4月3日以降一律で25%の関税がかけられるほか、今後の輸入状況についても監視が続けられる。なお、USMCAに準拠した自動車に対しては「米国産以外の部品価値」にのみ関税が課される新たな制度が導入される見通しであり、該当する部品については、当該手続きが確立されるまでの間、暫定的に無関税措置が適用される。(詳細はこちら、ファクトシートはこちら、関連記事はこちら)
米国における違法オピオイドの蔓延がもたらす莫大なコストについて(3月26日)
ホワイトハウスはフェンタニル等が米国経済にもたらしているコストを算定し、2023年だけでも米国GDPの9.7%相当の損害が生じたと発表した。これは、関税政策による想定コストを大きく上回っている。また、致死性の高いオピオイドの多くが中国で生産され、メキシコ経由で米国に流入していると強調した。(詳細はこちら)
デボン・アーチャー氏に対する恩赦(3月26日)
トランプ大統領は、かつてハンター・バイデン氏のビジネスパートナーであり、別件で詐欺の罪に問われていたデボン・アーチャー氏に恩赦を与えた。アーチャー氏は以前、ハンター・バイデン氏に対する捜査の際に証言を行っている。(詳細はこちら)