日本の防衛分野におけるAI活用の現在地

※本論考は、イタリアの地政学雑誌『Limes』2025年第4号(2025年5月7日)に掲載された”Per Tōkyō L’Ai Non Cambia Ancora La Guerra”を著者が和訳の上、転載したものである。
Index 目次

はじめに

近年、防衛分野においては、人工知能(AI)の様々な応用が試されている。例えば、ドローンやミサイルの運用、情報分析、指揮統制(C2)などにおいて、AIは重要な役割を果たしている。ウクライナ戦争は、AIが大規模に戦争に応用された初めての事例とされており、戦場における膨大なデータを解析・処理することで、指揮官による精緻かつ迅速な意思決定を支援している[1]。他の例としては、顔認識技術が敵兵士の特定に活用され、標的攻撃の精度と有効性を向上させた事例が挙げられる。イスラエルは、ガザ紛争において、米国の商業用AIアプリケーションを活用して、目標の追跡及び打撃を効果的に実施したことが報じられた[2]。また米中央軍は、「メイヴン・スマート・システム」と呼ばれるAI搭載の戦場認識システムを用い、脅威に関する情報を迅速に分析し、イエメンでのフーシ派に対する作戦において展開部隊の即応態勢を強化した[3]。さらに、中国も「智能化戦争」というスローガンの下、AIを中核とする軍事力の近代化を重視し、その能力強化を加速させている[4]。このように、AIが現代における戦闘の様相を形作る中、各国はAIを防衛戦略に統合すべく、開発を競っている。日本もまた、そのような努力と無縁ではない。

日本では、ウクライナ戦争が勃発する以前から、将来の戦争におけるAIの潜在力が認識されていた[5]。しかし、2022年に戦略三文書が公表された後、本格的なAI活用の推進に着手するようになった。長射程ミサイル及び無人アセットという他の二つの重視分野と同様に、三文書はAIを「ゲーム・チェンジャー」として位置付け、防衛力の向上に寄与するものと見なしている[6]。しかしながら、これらの新たな重視分野と比較すると、AIの導入速度はそれほど目立ったものであるとは言えない。実際、日本の国家防衛戦略において、AIは無人アセット(ドローン)との組み合わせにおいてのみ言及されており、AI単体を独立した重視分野とする姿勢は見られない。例えば、同戦略においては、「無人アセットをAIや有人装備と組み合わせることにより、部隊の構造や戦い方を根本的に一変させるゲーム・チェンジャーとなり得る」とされている[7]

日本は、軍事におけるAIの潜在力をどのように捉えているのか。なぜ日本の防衛分野へのAIの導入は、慎重かつ限定的であるのか。自衛隊の戦力構成は、今後のAI主導の戦争においてどのように変革されるべきなのか。本稿は、日本の防衛領域におけるAI推進の経緯を辿ることにより、これらの問いに対する解答を試みる。

AIの「イネーブラー」としての役割

日本の防衛力整備において、AIは独立した「ゲーム・チェンジャー(game
changer)」としてではなく、既存の能力を支援する「イネーブラー(enabler)」として発展してきている。日本では、防衛分野におけるAIの潜在的可能性が認識されているものの、その戦略における優先順位は比較的控えめなものとなっている。例えば、国家防衛戦略においては、「無人アセットをAIや有人装備と組み合わせることにより、(中略)非対称的な優勢を獲得することが可能である」とされる[8]。この考え方は、「最大の戦略的挑戦」と位置付ける中国が、日本に対して圧倒的な量的優位を有しているという認識に基づいた上で、その量的優位を相殺するため、ミサイルやドローンを用いた非対称的な態勢に依存する戦略を示すものである[9]

一方、長射程ミサイルを運用するには、リアルタイムでの情報共有を可能とする指揮統制(C2)ネットワークの構築が不可欠である。また、これらのミサイルによって遠距離の目標を追跡・破壊するために使用される情報収集・監視・偵察(ISR)用のアセットは、膨大なデータを生成することとなるが、そのままではミサイルの運用には使えない。それらの情報をミサイルの運用に資するため迅速に処理することが、運用者には求められる。さらに、多数の無人アセットを運用する際にも、同様のリアルタイム情報共有とデータ処理が必要となる。これらの必要性が、AIの活用に対する需要を増大させていると考えられる。すなわち、現代における戦闘では、OODA(観察、状況把握、意思決定及び行動)ループを維持・最適化するため、AIによる支援が求められているということだ。これらの背景から、政府はAIを、長射程ミサイル、ISRアセット、ドローンといった新たな装備を支えるための技術として重視していると考えられる。つまり、AIを独立した能力として開発するというよりは、既存の装備との連携により導入を進めるという姿勢である。

戦略三文書策定後初めてとなる2023年度の防衛予算において、防衛省は、複数の主要なAI関連事業に着手するための経費を計上した。具体的には、意思決定の迅速化を支援するAIの研究や、公開情報の自動収集・分析システムの導入のための予算が含まれている[10]。また基礎研究レベルのデュアルユース技術を支援する安全保障技術研究推進制度において、OODAループの自律化を支援するためのAI研究や、マルチモーダルAI技術に関する研究などに経費が計上されている[11]。さらに、2025年度においては、AIに関する主要な事業が着手される予定である。2025年度予算では、他の衛星が収集したデータを処理・統合し、それを戦術的に意味のある情報として地上の装備に伝達する戦術AI衛星実証機の試作に必要な予算が計上されている[12]。この構想が実現すれば、ミサイル、航空機、艦艇の運用者は、地上の指揮所における情報処理プロセスを経由せずに、戦場に関する情報を直接取得できる可能性が生まれる。また、同予算には、AIを活用したサイバー領域における意思決定システム、補給における需要予測システム、戦闘支援無人機(CCA)の運用に必要なAI技術の研究(継続)、そしてオンプレミスで運用可能な生成AIの検討に必要な予算も含まれている[13]。特に2025年度における関連事業の増加を踏まえると、2023年度以降直ちに着手されたスタンドオフ防衛能力及び無人アセットに関する主要事業との間で、若干のタイムラグが存在しているように思える。そうだとすれば、このことは、長射程ミサイル及びドローンの研究開発・調達を通じて、AIの導入の必要性がより強く認識された可能性を示唆していると言える。

なぜAIは自衛隊を変革していないのか

AI関連の研究開発事業が数多く着手される中、現時点で、AIは多くの国と同様に、日本の防衛態勢に明確な変化をもたらしていない。浜田靖一防衛大臣(当時)は国会において、「AIを含む技術変革の急速な進展等に伴い、これまでの戦い方が抜本的に変化をして」いると述べていた[14]。しかし実際には、防衛構想や自衛隊の戦力設計において、目に見える変化は生じていない。また、防衛省は2024年7月に「防衛省AI活用推進基本方針」を公表したが、この文書も、AI技術の活用動向の分析に主眼が置かれており、AIを防衛態勢に取り入れる明確なコンセプトや制度設計を提示するものではなかった[15]。では、AIに対する期待と現実との間にあるこのようなギャップは、いかなる要因によって生じているのであろうか。

第一に、AIを活用した防衛技術の研究開発が、いまだ萌芽的段階にあることは明らかである。そのため、こうした技術の導入が実際の運用者にとってどのような効果をもたらすのか、不確実性が残っているのである。実際、戦略研究における既存の研究においても、AIが戦争の本質に及ぼす影響の大きさについては、論者によって見解が分かれている。例えば、ケネス・ペインは、AIが人間以外の意思決定メカニズムを導入することにより、戦争の本質を変えると主張する[16]。他方、キャメロン・ハンターとブレディン・E・ボーエンは、「帰納型(induction-based)」の機械学習は、戦略や戦術において創造的な「仮説的推論(abductive
logic)」を要する軍事指揮に十分対応できないため、その影響は限定的となると主張する[17]。同様に、アンソニー・キングもまた、経験的推論に依存するAIは、未学習の予測不可能な状況には十分に対応できないと論じる[18]。このようなAIの役割に不確実性が残る段階で、特定の役割を前提とした部隊編制の変革を行うことは困難であるかもしれない。

事実、過去の軍事変革においては、多くの場合、新たな技術が登場した後、運用者がその技術の使用法を思い付き、戦い方が変わるという道筋を辿ってきた[19]。戦車、空母、あるいは今日におけるドローンを用いた戦い方は、その典型例であろう。自衛隊の運用者も、今後、新たに開発されたAI搭載技術によって刺激を受け、新たな戦い方を構想し、それに応じて戦力構成を調整していく可能性がある。しかし、現時点でそのような変化を確認するには、時期尚早であろう。

第二に、第一の点と関連して、AIは、制度化されたトップダウン型の変革(innovation)ではなく、ボトムアップ型の試行錯誤的な適応(adaptation)に有効な技術である可能性がある。テオ・ファレルは軍事的適応を、「作戦遂行能力を改善するための戦術・技法・既存技術の変化」であると定義する[20]。このため、適応は一定の期間を伴い、軍事組織におけるボトムアップの努力によって生じるとされる[21]。AIは、データ処理、統合、及び目標の識別を迅速化することを可能とする。これは、「キルチェーン」のテンポを変化させ、戦闘における勝利への貢献度を飛躍的に高める可能性を秘めている。しかし、このような特性を十分に認識するためには、運用者がドローン、センサーなどの新たな技術によって生成される膨大なデータに圧倒されるような経験を持つ必要があるかもしれない。こうした「制御困難なデータ」に直面することこそが、AIの価値を実感するための第一歩であろう。この観点からすれば、戦時に置かれた運用者の方が、平時の運用者よりもAIの有用性を体感する機会に恵まれており、より深い「認識(awareness)」を得やすい状況にあると言える。もちろん、他国による戦場におけるAI活用の成功例を模倣(emulation)するという形でも、国家はAIの防衛利用を進めることができる[22]。しかし、模倣には一定の時間差がつきまとう。すなわち、日本におけるAIの防衛分野への導入の遅れは、こうしたボトムアップ型の適応及び模倣機会の不足という側面によってある程度は説明可能である。

第三に、陸海空自衛隊には、AIを積極的に取り入れるための組織的インセンティブが欠如している。再びファレルの定義を引用すれば、軍事変革とは、「新たなドクトリン、組織構造、又は技術により制度化された主要な変化」である[23]。同様にスティーヴン・ローゼンは、「軍種内における主要な兵科における戦い方の変化又は新たな兵科の創出」を「主要な変革」であると定義している[24]。このような軍事変革を実現するためには、トップダウンの決定によって、あるいは軍種内の起業家精神を持った者による主導的取組によって、軍事ドクトリンや組織構造の変化が制度化されなければならない[25]。またいずれにせよ、軍事変革は、その組織の自己認識(self-image)によって反映される組織的利害によって根拠付けられる傾向にあることが指摘されている[26]。そうだとすれば、仮にAIの導入が各自衛隊の本来的な任務を強化し、その中核的組織利益を高めるものとなった場合、各部隊はその活用を積極的に推進するはずである。

しかし、現段階ではAIは様々なアセットの効率的な運用を支援する「イネーブラー」としての機能を高めるにとどまっている。このため、その重要性を強く認識するのは、戦術レベルの現場運用者であって、軍事組織の指導層ではない。このことが、自衛隊においてAI推進が強力な現場主導で展開されていない理由の一つと考えられる。一方、国会における議論などを見る限り、軍事変革の方向性に影響を与え得る文民指導者や政治家は、AIの推進に肯定的な関心を抱いているように見受けられる。しかし彼らもまた、AIを軍事分野に応用するための具体的適用事例を持ち得ていない。

これらの要素が組み合わさった結果、AI関連事業は自衛隊の陸海空各幕僚監部(各幕)ではなく、主に研究開発を担当する防衛装備庁や、統合運用をつかさどる統合幕僚監部(統幕)によって主導される傾向にある。実際、現在のAI事業の多くが、防衛装備庁や統幕の要求により実施されているように見受けられる。この事実は、各自衛隊が依然としてAI技術の実用性について、「様子見」をしている段階にあることを示していると言えよう[27]

これまで、統合運用における指揮統制は、統幕を通じて行われてきており、統合運用に必要なデータをやり取りするシステムの整備も統幕が所掌してきた。このことは、統幕がAIをシステムに導入する強い動機付けとなっている。しかし、防衛予算全体における統幕の比率は必ずしも高くはなく、また各自衛隊における装備調達は各幕が要求元となっている。このため、AI事業を通じて統幕が自衛隊の指揮統制や編制の変革を主導する余地は限られている。

これらを踏まえると、現時点では、AIが自衛隊の戦い方や組織編制に主要な変化をもたらしているとは言えない。これは多くの国における実態と同様であり、特異な傾向ではない。他方で、技術部門が主導する事業が、AIの応用可能性を高めることにより、将来的な軍事変革の基盤を提供していくこと可能性は残されていると言えよう。

指揮統制(C2)における将来的な変化の可能性

それでも、AIが将来的に軍事組織の構造を変革し得るとの議論も存在する。例えば、クリスティーナ・ベイリス及びポール・オニールは、AI及びネットワークの接続性が、戦場空間における透明性を高めることによって、複数で分散した小規模な司令部を相互に接続することを可能にすると主張している[28]。このような変化は、西側諸国の軍隊が採用する「ミッション・コマンド(任務指揮)」の有効性を高めるものであり、下位のレベルに位置する指揮官の自主的な判断を促進する[29]。この結果、より水平でフラットな指揮構造が、軍事指揮におけるAIの利点を最大限に引き出すことが予想される[30]

このようなAIの特徴は、軍事指揮一般に関する理論研究ともある程度整合性を有しているように見える。この点、ライアン・グラウアーによれば、コンピュータ化された戦闘環境は戦場における複雑性と不確実性を増大させる[31]。このような環境下では、軍隊は作戦の複雑性に対応するため階層的(分業的)な指揮構造を維持しつつも、現場の不確実性に柔軟に対処するため、意思決定の多くを下位の戦術レベルに委任(分権化)することにより、より効果的に機能する可能性があるという。一見すると、このグラウアーの予測は、ベイリスとオニールの「フラットかつ分権的な指揮構造がAIに適する」という主張と矛盾しているように思える。AIを組み込んだ戦い方は、コンピュータ化された戦闘環境の極致であるためだ。しかし、グラウアーの理論は、AIが、情報処理の物理的複雑性を緩和するという特性を考慮に入れていないように見える。このため、AIが導入された戦闘環境においては、彼の理論を構成する要素は、むしろその結論とは異なる方向に作用し得る。すなわち、AIによってコンピュータ化された戦闘環境の複雑性が緩和されることで、よりフラットな指揮構造の構築が有効となる可能性があるということだ。一方で、戦場において地理がもたらす作戦環境の不確実性は、AIによっても完全には除去されないだろう。グラウアーの指揮の不確実性に関する議論を踏まえると、そのような場合は、戦場における下位指揮官のイニシアティブが引き続き重要となる。そうだとすれば、グラウアーの軍事指揮に関する議論は、ベイリスとオニールの予測と合致することとなる。すなわち、将来、AIにより、今よりフラットかつ分権的な指揮構造が登場する可能性があるということだ[32]

翻って日本では、2025年3月、新たな統合作戦司令部(JJOC)が設置された。これまで統合作戦の指揮統制は、統幕を通じて行われてきたが、今回の組織改革を通じて、統合作戦司令部が部隊の統合指揮に集中する一方で、統幕は、防衛大臣への専門的助言にこれまで以上に注力することが期待されている。特に、統合作戦司令部は、長射程ミサイルやドローンといった新たな能力を活用する統合作戦において、積極的な役割を果たすことが見込まれる。しかし、AIを活用した指揮統制が最適に機能する部隊の指揮構造に関する上記の予測に照らせば、統合作戦司令官が現場の作戦をマイクロマネージするような、旧来型の階層的・中央集権的な指揮方法は、AIの潜在力を最大限に引き出すには不適合となる可能性がある。むしろ、新たに創設された統合司令部は、現場部隊や端末アセットを、AIによる情報共有及びネットワークを通じて相互に接続することを通じ、よりフラットかつ分権化された統合作戦の基盤を準備することに注力しなければならない。

いずれにせよ、統合司令部の発足は、統合運用に関する強力なステークホルダーの創設を意味し得る。そうだとすれば、同司令部の発足は、AIを活用した指揮統制の重要性に対する意識を高め、更なる努力を促す好機となり得る。

結論

日本においても、ほかの多くの国と同様に、防衛分野へのAIの活用が重視されているが、その戦い方や戦力設計に大きな変化はもたらすには至っていない。一方、上記のとおり、直近において実戦経験を有する国は、戦場での直接的な経験を通じてAIの有用性をより多く認識する機会を得て、AIを効果的に活用しやすい立場にある。しかしながら、これは実戦に従事していない国家がAIを活用した軍事変革を実現できないことを必ずしも意味するものではない。他国の実戦経験から得られた教訓を模倣するとともに、多様な研究開発事業の成果として得られる技術発展から刺激を受けることによっても、イノベーションは可能であろう。AIが現実に応用された事例に対する接触機会を増やすことは、運用者の「認識」を刺激する一助となるためだ。また、運用者と技術者の緊密な連携は、軍事変革を育む上で重要な意味を持つ。この観点からすれば、日本が現在の取組を継続し、さらに加速させる限り、防衛分野でのAI活用において、決して不利な立場にあるとは言えない。

(Photo Credit: ChatGPT。本記事の内容を踏まえて生成。)

  • [1] Sam Bendett, “Roles and Implications of AI in the Russian-Ukrainian Conflict,” Russia Matters (July
    20, 2023),
    https://www.russiamatters.org/analysis/roles-and-implications-ai-russian-ukrainian-conflict;
    Vera Bergengruen, “How Tech Giants Turned Ukraine into an AI War Lab,” TIME (February 8, 2024),
    https://time.com/6691662/ai-ukraine-war-palantir/.
  • [2] Michael Biesecker, Sam Mednick, and Garance Burke, “As Israel uses US-made AI models in war, concerns arise
    about tech’s role in who lives and who dies,”
    AP News (February 18, 2025),
    https://apnews.com/article/israel-palestinians-ai-technology-737bc17af7b03e98c29cec4e15d0f108.
  • [3] Lauren C. Williams, “Shore-based analysts help US warships fine-tune for imminent Red Sea combat,”
    Defense One (January 30, 2025),
    https://www.defenseone.com/threats/2025/01/shore-based-analysts-help-us-warships-fine-tune-imminent-red-sea-combat/402642/.
  • [4] US Department of Defense, “Military and Security Developments Involving the People’s Republic of China 2024”
    (December 2024),
    https://media.defense.gov/2024/Dec/18/2003615520/-1/-1/0/MILITARY-AND-SECURITY-DEVELOPMENTS-INVOLVING-THE-PEOPLES-REPUBLIC-OF-CHINA-2024.PDF,
    93-95.
  • [5] 例えば防衛省は、2017年度から、水中無人艇(UUV)にAI技術を適用し、洋上や水中の目標を識別する研究に着手している。また、2020年度からは、固定翼哨戒機で洋上目標の識別を行うに当たり、AI技術を適用してその自動化・高速化を行う事業を開始している。さらに2021年度からは、潜水艦に対する探知能力を向上させるため、AI搭載の潜水艦用ソーナーを開発している。第208回国会衆議院安全保障委員会会議録、第6号、2022年4月26日、堀江和宏防衛装備庁技術戦略部長答弁。
  • [6] 閣議決定「国家防衛戦略」2022年12月16日、https://www.mod.go.jp/j/policy/agenda/guideline/strategy/pdf/strategy
  • [7] 同上。
  • [8] 同上。
  • [9] 同上。
  • [10] 防衛省「令和5年度予算の概要」2022年12月、https://www.mod.go.jp/j/budget/yosan_gaiyo/2023/yosan_20230328.pdf
  • [11] 防衛装備庁「安全保障技術研究推進制度(防衛省ファンディング)」防衛装備庁ホームページ、https://www.mod.go.jp/atla/funding/seika.html
  • [12] 防衛省「令和7年度予算の概要」2024年12月、https://www.mod.go.jp/j/budget/yosan_gaiyo/fy2025/yosan_20241227.pdf
  • [13] 同上。
  • [14] 第211回国会衆議院安全保障委員会会議録、第8号、2023年4月14日。
  • [15] 防衛省「防衛省AI活用推進基本方針」2024年7月、https://www.mod.go.jp/j/press/news/2024/07/02a_03.pdf。なお、2023年には、防衛装備庁が「防衛技術指針2023」を発表し、ビッグデータ分析におけるAIの重要性に言及している。ただし、同技術指針は、戦い方やドクトリンというよりは、将来装備の技術的側面に焦点を当てたものとなっている。防衛装備庁「防衛技術指針2023」2023年6月、https://www.mod.go.jp/atla/guideline2023/assets/pdf/technology_guideline2023_ja.pdf
  • [16] Kenneth Payne, I, Warbot: The Dawn of Artificially Intelligent Conflict, Oxford Scholarship Online
    Political Science (London: Hurst & Company, 2021),
    https://doi.org/10.1093/oso/9780197611692.001.0001.
  • [17] Cameron Hunter and Bleddyn E. Bowen, “We’ll Never Have a Model of an AI Major-General: Artificial
    Intelligence, Command Decisions, and Kitsch Visions of War,”
    Journal of Strategic Studies 47, no. 1 (January 2, 2024): 116–46,
    https://doi.org/10.1080/01402390.2023.2241648.
  • [18] Anthony King, “Robot Wars: Autonomous Drone Swarms and the Battlefield of the Future,”
    Journal of Strategic Studies 47, no. 2 (February 23, 2024): 185–213,
    https://doi.org/10.1080/01402390.2024.2302585.
  • [19] 例えば、Thomas Mahnken, Net Assessment and Military Strategy: Retrospective and Prospective Essays
    (Amherst: Cambria Press, 2020); Emily O. Goldman and Leslie C. Eliason, eds.,
    The Diffusion of Military Technology and Ideas (Stanford (Calif.): Stanford University Press, 2003).
  • [20] Theo Farrell, “Improving in War: Military Adaptation and the British in Helmand Province, Afghanistan,
    2006–2009,”
    Journal of Strategic Studies 33, no. 4 (August 2010): 567–94,
    https://doi.org/10.1080/01402390.2010.489712; Theo Farrell and Terry
    Terriff, eds.,
    The Sources of Military Change: Culture, Politics, Technology, Making Sense of Global Security
    (Boulder, Colo: Lynne Rienner Publishers, 2002);
    Williamson Murray, Military Adaptation in War: With Fear of Change (New York: Cambridge University
    Press, 2011);
    Stephen Peter Rosen, Winning the Next War: Innovation and the Modern Military, Cornell Studies in
    Security Affairs (Ithaca, NY London: Cornell University Press, 1994).
  • [21] Farrell, “Improving in War,” 569.
  • [22] João Resende-Santos, Neorealism, States, and the Modern Mass Army (New York: Cambridge University
    Press, 2007). レゼンデ=サントスは、軍事的模倣を、「ある国家が、自国の軍事体制に関連する他国の軍事体制の特定の側面を意図的に模倣すること」であると定義している(9)。
  • [23] Farrell, “Improving in War,” 569.
  • [24] Rosen, Winning the Next War, 7.
  • [25] Farrell, “Improving in War”; Rosen, Winning the Next War.
  • [26] Morton H. Halperin, Arnold Kanter, and Priscilla Clapp, Bureaucratic Politics and Foreign Policy, 2nd
    ed (Washington, D.C: Brookings Institution Press, 2006), 38.
  • [27] その数少ない例外の一つが、2025年度予算における陸自AIクラウド基盤の整備事業であろう。
  • [28] Christina Balis and Paul O’Neill, “Trust in AI: Rethinking Future Command” (London: Royal United Services
    Institute for Defence and Security Studies, June 2022), chap. 4,
    https://static.rusi.org/332_OP_Trust_in_AI_Final_Web.pdf.
  • [29] Eitan Shamir, Transforming Command: The Pursuit of Mission Command in the U.S., British, and Israeli
    Armies
    (Stanford, Calif: Stanford Security Studies, 2011).
    しかし同時に、ベイリスとオニールは、AIによって上級指揮官が戦術レベルの状況をより深く把握できるようになる結果として、部下の意思決定に対して過度に細かく介入しようとする誘惑を生む可能性があるとも考えている(ibid.,
    26)。ジェームズ・ウィルソンはこれをはるか以前に予測しており、「通信の改善は、高位の指揮官が下位の指揮官の自主性と裁量を奪うために用いられる傾向があり、その結果として悲惨な事態を招くことが多い」と述べる。James
    Q. Wilson, Bureaucracy: What Government Agencies Do and Why They Do It, New ed. (New York, NY: Basic
    Books, 2000), 228.
  • [30] Balis and O’Neill, “Trust in AI: Rethinking Future Command,” 27–29.
  • [31] Ryan Grauer, Commanding Military Power: Organizing for Victory and Defeat on the Battlefield (New
    York: Cambridge University Press, 2016), 27–29, 32–33, 46–47.
    グラウアーは、「分業化(differentiation)」を「管理責任を持つ隷下の組織構成員に及ぼせる統制の範囲」と定義し、「集権化(centralization)」を「組織内の異なる構成員が、集団的目標の達成に向けて組織的資源の使用に関する意思決定を行う権限の度合い」であると定義している(27-28)。
  • [32] Balis and O’Neill, “Trust in AI: Rethinking Future Command,” 29.
小木 洋人 主任研究員
防衛省で16年間勤務し、2022年9月から現職。2014年から2016年まで外務省国際法局国際法課課長補佐、2016年から2019年まで防衛装備庁装備政策課戦略・制度班長、2019年から2021年まで整備計画局防衛計画課業務計画第1班長をそれぞれ務める。2021年から2022年まで防衛政策局調査課戦略情報分析室先任部員として、国際軍事情勢分析を統括。 2007年東京大学教養学部卒、2012年米国コロンビア大学国際関係公共政策大学院(SIPA)修士課程修了。
プロフィールを見る
研究活動一覧
研究活動一覧
研究者プロフィール
小木 洋人

主任研究員

防衛省で16年間勤務し、2022年9月から現職。2014年から2016年まで外務省国際法局国際法課課長補佐、2016年から2019年まで防衛装備庁装備政策課戦略・制度班長、2019年から2021年まで整備計画局防衛計画課業務計画第1班長をそれぞれ務める。2021年から2022年まで防衛政策局調査課戦略情報分析室先任部員として、国際軍事情勢分析を統括。 2007年東京大学教養学部卒、2012年米国コロンビア大学国際関係公共政策大学院(SIPA)修士課程修了。

プロフィールを見る