トランプ政権トラッカー:大統領令の概要と解説 No.31(2025年8月27日-9月2日)

大統領令一覧
連邦建築を再び美しくするための大統領令(8月28日)
この大統領令は、国威の向上や国民精神の鼓舞のため、今後の連邦公共建築において古典的および伝統的な建築様式を優先する方針を定めたものである。1960年以降、米国の公共建築ではモダニズムやブルータリズム、デコンストラクティビズムなどの様式が導入されてきたが、これらは国民から不評であったと説明している。また、古典的・伝統的建築の専門人材の配置や、推奨様式から逸脱する設計を行う場合の事前報告・説明義務などを義務付けている。(大統領令はこちら、ファクトシートはこちら)
連邦労使関係プログラムからさらなる除外を命じる大統領令(8月28日)
この大統領令は、3月27日の大統領令に続く形で、連邦政府の労使関係プログラムから除外する機関や組織をさらに追加するものである。追加されたのは水力発電所の運営部局、NASA、気象局及び環境衛星データ情報局(NESDIS)、特許長官室及び特許商標庁(USPTO)、グローバルメディア局(USAGM)であり、それぞれの所管する任務が国家安全保障にとって重要であることが理由として挙げられた。(大統領令はこちら、ファクトシートはこちら)
布告・覚書・公式発表一覧
「J.B.プリツカー知事にとって、どれだけ治安が悪化すれば十分なのか?」(9月2日)
ホワイトハウスは、銃撃事件が発生したシカゴを「アメリカで最も危険な都市」とし、緊急事態を受け入れようせず今の犯罪対策を十分とするイリノイ州の民主党J.B.プリツカー知事を名指しで批判した。またトランプ政権がワシントンの治安維持で成果を上げたにもかかわらず、プリツカー知事が党派を理由に抵抗しているとして主張した。(詳細はこちら)
全米防災月間に向けた大統領メッセージ(9月2日)
ホワイトハウスは全米防災月間に向け、アメリカのあらゆるコミュニティが災害に対する万全の備えを確保し、連邦政府のリソース配分と支援を受けられるようにする決意を示す大統領メッセージを公開した。2024年に多く発生した大規模災害に際しては、バイデン政権や地方政府が適切なリソース配分を行わなかったことで被害が拡大したと批判した。この上で現政権では、連邦緊急事態管理庁(FEMA)の見直しやカリフォルニアの山火事に対する迅速な対応といった政策により国民のニーズに応えているとして強調した。(詳細はこちら)
全米卵巣がん啓発月間に向けた大統領メッセージ(9月2日)
ホワイトハウスは、卵巣がん啓発月間でもある9月に入り、卵巣がんに苦しむ女性とその家族を研究機関や医療機関と共に最大限支える意志を示す大統領メッセージを公開した。また「アメリカを再び健康にする委員会」が原因究明に取り組む対象の一つに卵巣がんがあることを示し、医療費の透明性確保とコスト低減、その他医療アクセスの拡大などを支援策として強調した。(詳細はこちら)
全米前立腺がん啓発月間に向けた大統領メッセージ(9月2日)
ホワイトハウスは、前立腺がん啓発月間の9月に際し、米国の男性で罹患率が最も高いがんの一つである前立腺がんの克服に向け、患者・家族・医療機関・研究機関などを支援する姿勢を示す大統領メッセージを公開した。また第1次政権からの政策である遠隔地医療の拡大や試験薬へのアクセス解放などを挙げ、実効的取り組みとして強調した。(詳細はこちら)
小児がん啓発月間(9月2日)
ホワイトハウスは、小児がん啓発月間である9月に向け、全米で増加するがんと闘う児童とその家族を包括的にサポートする政権の姿勢を示した。政権として、「アメリカを再び健康にする」政策の下で健康的な生活習慣を促進し、小児がんの原因究明から治療までの投資を進めるほか、薬剤や治療費の透明性向上を促す政策などを挙げて経済的にも支援する姿勢を強調した。(詳細はこちら)
全米アルコール・薬物依存症回復月間に向けた大統領メッセージ(9月2日)
ホワイトハウスは、全米アルコール・薬物依存症回復月間に向け、依存症に苦しむ人々の克服と薬物供給の遮断を最大限支援する意志を示す大統領メッセージを公開した。具体策として、薬物防止の地域プログラムや治療へのアクセス拡大、薬物供給ネットワークの解体や「アメリカを再び健康にする委員会」による保健政策を挙げ、政権の意志を強調した。(詳細はこちら)
「トランプ大統領はアメリカの労働者のために成果を上げている」(9月1日)
ホワイトハウスは、レイバー・デーを迎えるにあたり、トランプ大統領が米国人労働者を第一にする政策を着実に実行してきたと強調した。具体的には、民間部門での新規雇用創出、規制緩和、各国との通商協定の締結、インフレ抑制、高度人材の育成、さらにOne Big Beautiful Billの制定などを挙げている。(詳細はこちら)
「今週のトランプ経済:物価低下、高成長、過去最高の市場」(8月29日)
ホワイトハウスは、レイバー・デーを迎えた今週、トランプ政権の経済政策が引き続き成果を上げていることを強調した。ガソリン価格は過去5年で最低水準となり、航空運賃や住宅ローン金利も低下、ダウ平均株価は過去最高値を更新、GDPは上方修正されたことなどを挙げている。(詳細はこちら)
「歴史的なポケット歳出削減パッケージが、ウォーク(woke)、政治的悪用、そして浪費的な支出を排除」(8月29日)
ホワイトハウスは、「ウォーク(woke)」「政治的悪用」「浪費的」とされる支出の削減を目的に、大統領として50年ぶりにインパウンドメント統制法を発動し、総額50億ドル規模の海外援助や国際機関への拠出を削減する方針を示した。削減対象には、米国際開発庁(USAID)の開発援助金、民主主義基金、国連をはじめとする国際機関拠出金、国連平和維持活動などが含まれる。(詳細はこちら)
レポート:「トランプ口座」が次世代の貯蓄のスタートを後押し(8月29日)
ホワイトハウスは、「トランプ口座」における個人貯蓄の推移について、大統領経済諮問委員会(CEA)が行った試算結果を公表した。トランプ口座とは、18歳未満の子どもを対象に設立される貯蓄を後押しする個人口座のこと。特に、2024年12月31日から2029年1月1日までに生まれた子どもは、口座の開設時に政府から1000ドルの拠出を受け取ることができ、さらに親が年間最大5000ドルを追加拠出することが可能。(詳細はこちら、レポートはこちら)
2025年 オーバードーズ(薬物過剰摂取)予防週間に関する布告(8月28日)
この布告は、2025年8月31日から9月6日までを「オーバードーズ予防週間」と定め、薬物過剰摂取に対する啓発を促すものである。また、布告では、過去の政権下で南部国境からフェンタニルなどの危険薬物が流入し、深刻な被害をもたらしたと批判する一方で、トランプ政権がフェンタニルを禁止する法律の制定やカルテルのテロ組織指定などの対策を進めていることを強調している。(詳細はこちら)
2025年 レイバー・デー(労働者の日)に関する布告(8月28日)
この布告は、米国の歴史を支えてきた労働者を称賛するとともに、トランプ政権が製造業の復活や公正な貿易の推進を通じて雇用を米国に取り戻している成果を強調し、2025年9月1日を「レイバー・デー(労働者の日)」と定めるものである。(詳細はこちら)
連邦補助金受給者による、違法なロビー活動や党派性のある政治活動への予算流用を指摘する覚書(8月28日)
この覚書は、連邦政府による補助金において、本来は制限されているロビー活動や党派的活動への流用があるとして、司法長官に調査と対応措置を命じるものである。これの基づき、司法長官は180日以内に調査の進捗報告を行う。(詳細はこちら、ファクトシートはこちら)
「トランプ経済下で旅費が低減、レイバー・デーのガソリン価格が過去5年で最安に」(8月28日)
ホワイトハウスは、トランプ政権の経済政策・エネルギー規制緩和によって夏のガソリン価格がここ数年で最低水準に低減しているとし、各地の反応を取り上げながら政策の効果を強調した。(詳細はこちら)
ホワイトハウス、麻薬密売との戦いに従事する法執行官の英雄達を表彰(8月28日)
ホワイトハウスの国家薬物取締政策局(ONDCP)は、米国阻止活動調整官(USIC)賞の表彰式を開催し、麻薬取締の最前線で従事する個人・タスクフォースの献身を称えた。授賞はサイバー捜査や海上作戦による薬物押収など阻止活動全般での功績に対するもので、4月に公開した優先事項に則り政権全体で違法薬物に対する積極的な攻勢を続けることが強調された。(詳細はこちら)
ミネソタ州ミネアポリスの悲劇における犠牲者を追悼する布告(8月27日)
この布告は、同日8月27日にミネアポリスで起きた銃撃事件の犠牲者を追悼し、全米の連邦政府の施設・基地・艦艇及び大使館等の在外施設全てで8月31日までの間半旗を掲揚するよう求めるものである。(詳細はこちら)