アイスランド総選挙 | 選挙イヤー2024

11月30日、アイスランドで総選挙(一院制、63議席)が実施された。与党で伝統的な二大政党である保守系・独立党と中道保守・進歩党が議席を減らし、両党と連立を組んでいた社会主義系の左翼緑運動が全議席を失った結果、連立与党は37議席から19議席へと大幅に議席数を減らし、過半数を大きく下回る結果となった。他方、中道左派の社会民主党は15議席を得て第一党となり、中道派の改革党(11議席)および中道左派の国民党(10議席)も議席を増やし、それぞれ第三党、第四党へと躍進した。近年、アイスランドは頻発する火山噴火による観光産業への打撃に加え、新型コロナ明けの経済変動やロシア・ウクライナ戦争に起因する生活費と住宅価格の高騰に苦しんでおり、今回の結果は保守系現政権への不満が明確に示されたものといえる。現在、36歳のクリストルン・フロスタドッティル党首が率いる社会民主党を軸に改革党と国民党との連立交渉が進められており、これが実現すればサブプライムローンに深くコミットしたことでリーマン・ショックの打撃を受けた2009年以来の政権交代となる。また、社会民主党と改革党はEU加盟に前向きな姿勢を示しており、低迷する経済状況を背景に国民の支持も増加していることから、EU加盟に反対する国民党との協議次第ではあるものの、2009年に申請しながら2013年に中断されたEU加盟問題が次期政権において再燃し、国民投票の実施を検討する可能性も指摘されている。
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石川 雄介 研究員/デジタル・コミュニケーション・オフィサー
専門はハンガリーを中心とした欧州比較政治、民主主義の後退、反汚職対策。明治大学政治経済学部卒業、英国・サセックス大学大学院修士課程修了(汚職とガバナンス専攻)、ハンガリー・中央ヨーロッパ大学大学院政治学研究科修士課程修了。 トランスペアレンシー・インターナショナル ハンガリー支部でのリサーチインターンなどを経て、アジア・パシフィック・イニシアティブ(API)に参画。API/地経学研究所にて、インターン、リサーチ・アシスタント、欧米グループ研究員補(リサーチ・アソシエイト)を経た後、2024年8月より現職。APIでは、福島10年検証、CPTPP、検証安倍政権プロジェクトに携わった。シンクタンクのデジタルアウトリーチ推進担当として、財団ウェブサイトや SNSの活用にかかる企画立案・運営に関わる業務も担当。 主な著作に『偽情報と民主主義:連動する危機と罠』(共著、地経学研究所、2024年)、『EU百科事典』(分担執筆、丸善出版、2024年)、Routledge Handbook of Anti-Corruption Research and Practice(分担執筆、Routledge、2025年出版予定)などがある。 【兼職】 国際NGO Transparency International Anti-Corruption Helpdesk (ベルリン)外部寄稿者・コンサルタント
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研究者プロフィール
石川 雄介

研究員,
デジタル・コミュニケーション・オフィサー

専門はハンガリーを中心とした欧州比較政治、民主主義の後退、反汚職対策。明治大学政治経済学部卒業、英国・サセックス大学大学院修士課程修了(汚職とガバナンス専攻)、ハンガリー・中央ヨーロッパ大学大学院政治学研究科修士課程修了。 トランスペアレンシー・インターナショナル ハンガリー支部でのリサーチインターンなどを経て、アジア・パシフィック・イニシアティブ(API)に参画。API/地経学研究所にて、インターン、リサーチ・アシスタント、欧米グループ研究員補(リサーチ・アソシエイト)を経た後、2024年8月より現職。APIでは、福島10年検証、CPTPP、検証安倍政権プロジェクトに携わった。シンクタンクのデジタルアウトリーチ推進担当として、財団ウェブサイトや SNSの活用にかかる企画立案・運営に関わる業務も担当。 主な著作に『偽情報と民主主義:連動する危機と罠』(共著、地経学研究所、2024年)、『EU百科事典』(分担執筆、丸善出版、2024年)、Routledge Handbook of Anti-Corruption Research and Practice(分担執筆、Routledge、2025年出版予定)などがある。 【兼職】 国際NGO Transparency International Anti-Corruption Helpdesk (ベルリン)外部寄稿者・コンサルタント

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