トランプ政権トラッカー:大統領令の概要と解説 No.6(2025年2月19-25日)

研究員による解説
アメリカ・ファースト投資政策:財務長官、国務長官、国防長官、司法長官、商務長官、労働長官、エネルギー長官、国土安全保障長官、環境保護庁長官、行政管理予算局長、国家情報長官、米国通商代表、経済諮問委員会委員長、科学技術政策局長、大統領補佐官(国家安全保障担当)、連邦捜査局(FBI)長官宛て

トランプ政権トラッカーの一覧(2025年1月20日~)
【一覧】トランプ政権トラッカー(大統領令・布告・覚書・発表)
この論考でわかること
  • 大統領令の一覧と概要
  • 布告・覚書・公式発表の一覧と概要
  • トランプ大統領の演説および優先政策
  • エキスパートの視点
Index 目次

大統領令一覧

明確・正確で実用的な医療費情報を通じて「アメリカを再び健康に」する大統領令(2月25日)

この大統領令は、病院や保険会社などの「強大な組織」が医療費の説明責任を果たしてこなかったと指摘し、トランプ第一次政権に引き続き情報の透明化を推進するもの。具体的には、実際の価格の開示、情報の標準化、病院や保険プランを比較できる環境の整備、透明性のあるデータ報告を求めている。(大統領令はこちら、ファクトシートはこちら

銅資源の輸入依存が安全保障に及ぼす影響の調査に関する大統領令(2月25日)

この大統領令は、世界の銅生産が特定の国々によって支配され、米国が輸入に依存している現状を懸念し、国内サプライチェーンの構築の必要性を強調している。これを踏まえ、商務長官に対し、銅の輸入が国家安全保障に与える影響を調査するよう命じている。(大統領令はこちら、ファクトシートはこちら

連邦官僚機構の削減を開始する大統領令(2月19日)

この大統領令は、連邦政府の規模を劇的に縮小するため、不要と見なされる機関や機能の削減を開始し、それらの機関の予算要求を見直すよう命じている。(大統領令はこちら、ファクトシートはこちら

合法的な統治の確保と大統領の「政府効率化省」規制緩和イニシアティブの実施に関する大統領令(2月19日)

この大統領令は、連邦政府の過剰な権限行使を是正するため、各機関の長に対し、政府効率化省(DOGE)と連携し、合憲性に疑問のある規制や国益を損なう規制の見直しを命じている。(大統領令はこちら、ファクトシートはこちら

納税者によるオープンボーダー(開かれた国境)への補助金の廃止に関する大統領令(2月19日)

この大統領令は、米国民の納税に支えられている公的給付が不法滞在者に渡るのを防ぐため、不法移民が受給可能なプログラムの特定や、不正受給の取り締まり強化を命じている。(大統領令はこちら、ファクトシートはこちら

布告・覚書・公式発表一覧

(特定の法律事務所に対する)セキュリティクリアランスの一時剥奪と政府契約の精査についての覚書(2月25日)

この覚書は、トランプ氏の起訴に携わったジャック・スミス元特別検察官を支援したCovington & Burling法律事務所を、「司法手続きの武器化」の疑いがあると名指しし、疑いが晴れるまで同事務所の全従業員のセキュリティクリアランスを一時停止し、政府契約の終了または精査を命じている。(覚書はこちら

AI分野の行動計画に関するパブリックコメント募集(2月25日)

2025年1月23日の大統領令に基づき、人工知能(AI)分野の行動計画策定に向けて、学術界、業界団体、民間企業、地方政府など幅広い関係者からの意見が募集されている。期限は同年3月15日まで。(発表はこちら、募集はこちら

■解説付き■ アメリカ・ファースト投資政策:財務長官、国務長官、国防長官、司法長官、商務長官、労働長官、エネルギー長官、国土安全保障長官、環境保護庁長官、行政管理予算局長、国家情報長官、米国通商代表、経済諮問委員会委員長、科学技術政策局長、大統領補佐官(国家安全保障担当)、連邦捜査局(FBI)長官宛て(2月21日)

この覚書は、アメリカの国家安全保障・経済安全保障を強化するため、同盟国や友好国からの投資を促進する一方で、中国をはじめとする敵対国からの投資を制限する方針を示している。(覚書はこちら、ファクトシートはこちら

解説
この覚書は、「経済安全保障は国家安全保障である」と宣言している。この大統領令には2つの主要な要素がある。第一に、同盟国や同志国からの米国経済への投資が国益に資することを認識し、これらの投資源からの投資拡大を促進するため、高度な技術分野に重点を置いた迅速な「ファストトラック」プロセスを作成するよう行政機関に命じている。しかし、投資は安全保障条項の対象となり、投資家は米国の外国の敵対国と提携しないよう求められる。第二に、中国、キューバ、イラン、北朝鮮、ロシア、ベネズエラを外国の敵対国と定義し、特に中国が米国の重要インフラを「乗っ取る」ことを試み、米国の投資を利用して最先端の技術、知的財産、戦略的産業における影響力を獲得しようとしていると指摘している。このような投資はさまざまな法的権限に基づいて制限され、「米国の利益にかなう」と判断された場合にのみ許可される。これら2つの要素を組み合わせることで、欧州とアジアの同盟国が投資を中国から米国に移し、その資金を使って米国の主要部門における中国資本を置き換え、米国の経済と国家安全保障の利益を同時に推進するよう促すことが目的である。(アンドリュー・カピストラノ)

米国企業およびイノベーターを海外からの収奪や不当な罰金・制裁から守るための覚書:財務長官、商務長官、米国通商代表、 大統領上級顧問(貿易・製造業担当)宛て(2月21日)

この覚書は、欧州やカナダが米国企業に対して一方的なデジタルサービス税(DST)や規制を導入し、米国企業の収益に不当な負担を課しているとして、関係機関の長に対し、各国によるDSTや規制の実態を調査し、具体的な対応措置を検討するよう指示している。(覚書はこちら、ファクトシートはこちら

「アメリカが帰ってきた-そしてこれはトランプ政権の始まりに過ぎない」(2月20日)

ホワイトハウスは、トランプ政権1ヶ月の節目にその成果をまとめた声明を公表した。「通常ならば任期全体を使って得られる成果を僅か1ヶ月で達成した」とし、移民対策・関税と投資・インフレ対策・外交・エネルギー再転換・反多様性・連邦政府改革・その他に分けてまとめている。(詳細はこちら

硫黄島の戦い80周年に関する布告(2月19日)

この布告は、2025年2月19日を「硫黄島の戦い80周年」と宣言し、この戦いで犠牲となった全ての愛国者に敬意を表するために発表されたもの。また、現在の日米同盟が、インド・太平洋地域の平和と繁栄の礎になっていることにも触れている。(布告はこちら

研究活動一覧
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