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【開催報告】Geoeconomics Summit 2026

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地経学研究所(IOG)は5月13日(水)に「Geoeconomics Summit 2026 -Geoeconomics in Times of Geopolitical Turbulence-」を開催しました。約350名(うち、オンライン参加170名)が参加し、政治、経済、国際関係に関する幅広いテーマについて、専門家による議論と意見交換が行われました。

当日の模様は、YouTubeの動画アーカイブからもご覧いただけます。

動画アーカイブはこちら(英語のみ)

開会・「アジアと国際秩序:エネルギーとサプライチェーンの新時代」セッション

冒頭、鈴木一人(地経学研究所長)により開会挨拶を行い、続いてパネルセッション「アジアと国際秩序:エネルギーとサプライチェーンの新時代」が行われました。本セッションには田中伸男氏(タナカグローバルCEO、元国際エネルギー機関(IEA)事務局長)、サーレハ・アブドッラー・アル・マナ氏(カタール商工省商務担当次官補)、ジェーン・ナカノ氏(CSISシニアフェロー)がパネリストとして登壇し、朴喆熙(国際文化会館特別顧問)がモデレーターを務めました。中東のエネルギー危機を契機に変容する国際秩序と揺らぐサプライチェーンを中心に議論が交わされ、化石燃料を武器とする「ペトロ・ステート」とクリーンエネルギーを主導する「エレクトロ・ステート」との地政学的な対比を踏まえ、アジア諸国が直面する戦略的選択肢について多角的な意見が交わされました。地域協力の展望や原子力を含む持続可能な代替エネルギーの可能性についても示唆に富む見解が示されました。

基調講演(ジョシュア・ウォーカー氏)

ジョシュア・ウォーカー氏(ジャパン・ソサエティー理事長)による基調講演では、地政学から地経学へ時代が決定的に移行しつつある現状が語られ、その変化が外交のみならず企業活動や投資戦略にも大きな影響を及ぼしているとの発言がありました。ウォーカー氏は、高市政権の安定性と、高市氏が日本の経済安全保障に対して深い理解を有している点に触れ、日本は現状の国際情勢をむしろ好機と捉えることができる独自の立場にあると論じました。そして、地経学はもはや国際情勢の単なる前提条件ではなく、中心的な概念であることを強調し、単に国力の大きさではなく、信頼、イノベーション、強靭性、同盟関係といった要素をいかに巧みに組み合わせられるかが、これからの時代における国家の競争力を左右すると指摘しました。基調講演に続く神保謙(国際文化会館常務理事)との対談では、米国の国内政治をはじめ、イラン情勢や米中関係に至るまで幅広いテーマについて議論が交わされました。

「武器化する経済における戦略とは」セッション

「武器化する経済における戦略とは」と題したパネルディスカッションでは、細谷雄一(地経学研究所欧米グループ長)がモデレーターを務め、パク・テホ氏(ソウル国際問題フォーラム会長)、パオロ・マグリ氏(イタリア国際政治研究所 諮問委員会委員長)が登壇しました。韓国と欧州が直面した具体的な経験を踏まえ、サプライチェーンの主権、多国間枠組み、そして投資と連動した通商戦略などにおいて、ミドルパワー国家が米中両国へどのように対応しているかが議論されました。また、CPTPPやWTOなどに立脚した有志国による連携強化が不可欠であるという見解が示されました。長期的には米国を再び国際協調の枠組みに積極的に関与させることが重要であり、過度な保護主義の拡大は世界をより危険なものにしかねないと警鐘を鳴らしました。

基調講演(カール・ビルト氏)

続く基調講演では、カール・ビルト氏(欧州外交評議会共同議長、スウェーデン元首相・元外相)が登壇しました。ビルト氏は、ルールに基づく国際貿易秩序が浸食されつつある現状に言及し、制裁の拡大から米中間の技術競争に至るまで、「武器化された経済」が国際社会で台頭していると述べました。また、多国間体制の維持、信頼できるパートナーとの連携深化、自国経済の強靭性の向上、フロンティア技術への投資の重要性を協調しました。さらに、かつては過剰な対中依存の見直しを念頭に置いて用いられていた「デリスキング」が、今日では米国に対しても適用されなければならないと指摘しました。基調講演に続いて鈴木地経学研究所長と対談を行い、ルールに基づく秩序の将来像、米中関係の力学、中東情勢など幅広いテーマで議論が交わされました。ビルト氏は、開かれた国際秩序を維持するための最も現実的な方策は信頼できるパートナー間の連携深化にあると述べました。議論の結びでは、ビルト氏は日本の安全保障政策の発展が日欧協力の新たな可能性をもたらしていることに歓迎の意を示した上で、岸田前首相の「今日のウクライナは明日のアジア」という言葉を引用し、ユーラシア大陸の両端に連なる地政学的連続性を改めて示しました。

IOGはこれからも政官財学をつなぐハブとして、アジア・太平洋地域における地経学分野の取り組みを推進するとともに、その成果を発信してまいります。

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