モルドバ大統領選挙 | 選挙イヤー2024

11月3日、モルドバにおいて大統領選挙(任期4年、3選禁止)の決選投票が行われ、親欧米派で現職のマイア・サンドゥ大統領が約55%の支持を得て再選を果たした。今回の決選投票は、10月20日の初回投票においていずれの候補者も過半数の支持を得られなかったことに起因するものである。初回投票で最多の得票を得たサンドゥ大統領と、同投票で第二位となり親ロシア派の社会党から支持を受けるアレクサンドル・ストヤノグロ元検事総長が決選投票に臨んだ。また、初回投票時には、EU加盟を憲法に明記するかどうかを問う国民投票も行われ、賛成が50.46%、反対が49.54%となった。サンドゥ大統領は、2030年までのEU加盟を目指し、ロシアによるウクライナ侵略に強く反対するとともに、ロシアへのエネルギー依存からの脱却を推進しているが、この親EU・反ロシアの政策はエネルギー価格の高騰やインフレを招き、サンドゥ大統領の政策に不満を持つ国民が増えていた。その影響もあり、国内ではサンドゥ大統領の得票がわずかにストヤノグロ元検事総長を下回る結果となったものの、在外投票でサンドゥ大統領が強く支持されたため、僅差での再選となった。なお、ロシア政府は否定しているものの、大統領選挙や国民投票に際しては、ロシアからの偽情報の拡散や大規模な票の買収が行われていたとする指摘が複数なされている。今回の国民投票と大統領選挙において、僅差ながらもEU加盟に賛成する意向が示され、親EU派の大統領が再選を果たしたことのインパクトは大きい。
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石川 雄介 研究員/デジタル・コミュニケーション・オフィサー
専門はハンガリーを中心とした欧州比較政治、民主主義の後退、反汚職対策。明治大学政治経済学部卒業、英国・サセックス大学大学院修士課程修了(汚職とガバナンス専攻)、ハンガリー・中央ヨーロッパ大学大学院政治学研究科修士課程修了。トランスペアレンシー・インターナショナル本部にて外部寄稿者・コンサルタントも務める。 トランスペアレンシー・インターナショナル ハンガリー支部でのリサーチインターンなどを経て、アジア・パシフィック・イニシアティブ(API)に参画。API/地経学研究所にて、インターン、リサーチ・アシスタント、欧米グループ研究員補(リサーチ・アソシエイト)を経た後、2024年8月より現職。APIでは、福島10年検証、CPTPP、検証安倍政権プロジェクトに携わった。シンクタンクのデジタルアウトリーチ推進担当として、財団ウェブサイトや SNSの活用にかかる企画立案・運営に関わる業務も担当。 主な著作に『偽情報と民主主義:連動する危機と罠』(共著、地経学研究所、2024年)、『EU百科事典』(分担執筆、丸善出版、2024年)、Routledge Handbook of Anti-Corruption Research and Practice(分担執筆、Routledge、2025年出版予定)などがある。
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研究者プロフィール
石川 雄介

研究員,
デジタル・コミュニケーション・オフィサー

専門はハンガリーを中心とした欧州比較政治、民主主義の後退、反汚職対策。明治大学政治経済学部卒業、英国・サセックス大学大学院修士課程修了(汚職とガバナンス専攻)、ハンガリー・中央ヨーロッパ大学大学院政治学研究科修士課程修了。トランスペアレンシー・インターナショナル本部にて外部寄稿者・コンサルタントも務める。 トランスペアレンシー・インターナショナル ハンガリー支部でのリサーチインターンなどを経て、アジア・パシフィック・イニシアティブ(API)に参画。API/地経学研究所にて、インターン、リサーチ・アシスタント、欧米グループ研究員補(リサーチ・アソシエイト)を経た後、2024年8月より現職。APIでは、福島10年検証、CPTPP、検証安倍政権プロジェクトに携わった。シンクタンクのデジタルアウトリーチ推進担当として、財団ウェブサイトや SNSの活用にかかる企画立案・運営に関わる業務も担当。 主な著作に『偽情報と民主主義:連動する危機と罠』(共著、地経学研究所、2024年)、『EU百科事典』(分担執筆、丸善出版、2024年)、Routledge Handbook of Anti-Corruption Research and Practice(分担執筆、Routledge、2025年出版予定)などがある。

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