メルツ政権で対中政策はどう変わるか—— 制約下におけるデリスキングと持続的な関与をめぐるジレンマ

【執筆者: 安達 彩、ドイツ外交問題評議会(DGAP)地政学・地経学・技術センター アソシエイト・フェロー、田口 季京、地経学研究所 リサーチ・アシスタント】
自国を取り巻く安全保障環が悪化し、同時に経済面での課題も山積するなか、ドイツはこれまでの対中政策の見直しを進めている。ロシアによるウクライナ侵略が依然としてベルリンの主な関心事項である一方、アメリカによるデンマーク自治領グリーンランドの領有を求める圧力や新たな国家防衛戦略の発表、さらにはイランへの攻撃といった一連の動きが、ドイツの対外行動に難しい問題を突きつけている。こうした状況において、中国への注目度は相対的に下がっているように見える。しかし、中国との関係こそが、ドイツが直面する戦略的環境を形成しているといえるだろう。
上記のような多層的な問題が、安全保障と経済安全保障の双方の領域において、中国に対する「デリスキング」を推進しようとするドイツの政策を複雑なものにしている。EU内の大国であり、中国にとって欧州における主要な貿易相手国であるドイツの対応は、EU全体の対中政策を方向づける可能性があり、欧州のみならず、日本をはじめ中国の増大する影響力やミドルパワー連携の必要性についての認識を共有するパートナー国にとっても、重要な意味を持つ。
本論考では、こうした不透明性が増す国際情勢のなか、2025年5月に発足したメルツ政権に焦点を当て、ドイツの対中政策の変化と現状を分析する。外相の任命や国家安全保障会議の設置など関連する国内政策から、メルツ首相の訪中の位置づけや、その際の対外的な発信を見ることで多面的に現政権の対中姿勢を探り、今後の日独間および日EU間の協力を進めるための日本への示唆を提示する。
なぜドイツの対中政策が日本にとって重要なのか
ドイツの対中政策が日本にとって重要なのは、欧州諸国の対中戦略およびその対中貿易において、ドイツ政府が極めて重要な位置を占めているためである。中国がますます強硬な姿勢をとり、経済面・技術面における影響力を強めようとするなか、ドイツの選択は、欧州の枠を超えて日本をはじめとするパートナー国との関係にも影響を及ぼしうるであろう。
安全保障の観点から見ると、ドイツは伝統的に、経済的な利益の追求と、外交面における安定的な関係の構築を優先することからも、中国に対して比較的宥和的な姿勢をとってきた。ドイツ政府がこの姿勢を転換するか否かは、インド太平洋地域への関与を含む欧州の対中リスクへの対応に影響を与えるだろう。それゆえ、中国からの直接的な圧力に直面している日本にとって、ドイツの対中政策のなかで明確なかたちで安全保障上の懸念が表明されることが重要となる。
経済分野におけるドイツの重要性は、よりいっそう際立っている。ドイツは、EU加盟国のなかで最大の経済大国であるだけでなく、欧州と中国の貿易・投資関係を規定する中心的なアクターとして、デリスキング、投資審査、重要インフラの保護、技術依存の低減といったEUの取り組みを実施・推進し、その方向性を決定づけるうえで重要な役割を担っている。EUのなかでのドイツのプレゼンスの大きさを考えると、ベルリンの政策決定の結果として、EUとしての集団的な行動が加速することもあれば、停滞することもありうる。中国に対する基本的な姿勢についても、同様のことが言えるだろう。つまり、ドイツの対中政策が、他の加盟国が中国に対してより強硬な姿勢、あるいはより寛容な姿勢へと向かうよう後押しすることもあれば、それを思いとどまらせることもある。
日本の視点から見れば、ドイツは対中関係において、その政策に大きな振幅が見られるという意味で、欧州のいわば「スウィング・ステート」である。仮にドイツ政府が断固とした対中デリスキングに踏み出せば、他の欧州諸国もそれに追随する可能性が高まり、そのことがEU全体の戦略的方向性を左右しうる。逆に、ドイツが中国に対して譲歩するような弱い姿勢を示せば、対中政策における日EU間の連携を強化することは困難になるだろう。
日本は、欧州諸国がそれを実行するよりもはるかに早い段階で、それまでの中国に対する協調的な政策を軌道修正してきた。2010年代の尖閣諸島周辺での海上での対立や、それに続く中国政府によるレアアース輸出規制によって、中国を安全保障上および経済安全保障上の課題として位置づける必要性が認識されるようになった。こうした経緯を踏まえると、ドイツが長年重視してきた中国への「関与」、とりわけメルケル政権下で進められてきたそのようなアプローチは、リスクを意識して中国に対する経済安全保障への関心を強める日本とは対照的であった。それゆえ、その後の政権下で変化を遂げるドイツの対中政策は、日本にとって注視すべき対象であるといえる。
ドイツの対中認識の揺らぎ——「経済パートナー」から「体制上のライバル」へ
過去20年を振り返ると、ドイツの対中政策は、経済的関与を深めることで中国の行動が穏健化するという前提に基づいて構築されていた。メルケル政権下では、「貿易による変革(Wandel durch Handel)」と称されるこの論理が、しばしば市場アクセスや輸出の拡大、投資機会を優先させる一方で、戦略的な、あるいは安全保障上のリスクを軽視する傾向がみられた。これまで中国は、体制上のリスク要因というよりは、むしろ不可欠な経済パートナーとみなされてきたのである。
メルケル政権末期の2019年頃から、このような認識に変化が生じ始めた。そのきっかけは、サプライチェーンへの依存、中国による経済的威圧行為、そして強硬さを増す中国の対外・安全保障政策に対する懸念が高まったことであった。
このような変化は、メルケル政権を継ぎ、社会民主党(SPD)を最大与党として緑の党および自由民主党(FDP)との連立によって発足したショルツ政権の中国戦略において、明確に示された。2023年夏に発表されたこの戦略では、中国を「パートナー、競争相手、そして体制上のライバル」と定義し、「デカップリングではなく、デリスキング」の推進が重要であると強調されている。これは、経済的な相互依存によって安定を確保することができるとしていた従来の前提から、大きな転換を示すものであった。
しかし、対中戦略に記された文言とは裏腹に、ドイツの対中政策の転換はいまだ慎重かつ不完全なままである。戦略レベルでのリスク認識は高まったものの、産業界は依然として中国に強く依存しており、必ずしも具体的な政策調整が進んでいるわけではない。結果として、ドイツの対中認識は日本の経済安全保障の考え方に近づいたものの、戦略と実際に実施されている政策の間には大きな乖離が存在しているといえる。
メルツ政権の対中政策——継続と変化
中国の威圧的な行動に対する懸念が高まりつつあるなか、2025年5月にはキリスト教民主/社会同盟(CDU/CSU)とSPDの連立であるメルツ政権が発足した。メルツ政権は、発足以来、ドイツの対中政策の枠組み全体を見直すというよりも、むしろその枠組みの打ち出し方や運用の調整に重点を置いてきた印象である。同政権は、特に安全保障関連の問題における中国に対する懸念を、より明確なかたちで表明している。
こうした変化は、外交政策の対外的な発信においても顕著に表れている。連邦議会のCDU/CSU会派において長きにわたり外交・防衛担当の院内副総務を務め、現実主義的な外交姿勢で知られるヨハン・ヴァーデフールを外相に任命したことは、この転換を体現しているといえるだろう。アジア諸国訪問に際して、ヴァーデフール外相が中国の軍事的な強硬姿勢を批判したことは、対中関係において安全保障上の懸念をより直接的に取り上げようとするドイツ政府の意向が強まっていることを示唆している。
しかし同時に、こうしたアプローチの限界は、早い段階から明らかになった。ヴァーデフール外相は、昨年10月に訪中を予定していたものの、出発直前になってその延期が発表された。ドイツ外務省によれば、王毅外相との会談以外に十分な外交日程を確保できなかったことがその理由であるという。訪問延期をめぐる詳細は公表されていないが、中国側がヴァーデフール外相の前述の発言を嫌った可能性が高い。この一件は、対中外交においていかに慎重な発信が求められているか、また、北京との間で協力的な関係を維持しつつ、同時に中国の軍事行動などに対して強い態度を示すことの難しさを改めて浮き彫りにした。
結局、ヴァーデフール外相の訪中は当初の日程が変更され、独中ハイレベル財政・金融対話から3週間後に実施されることとなったが、その外交上のインパクトは限定的なものにとどまる結果となった。中国の政権幹部とのハイレベルな会合が十分に実現されなかったこともあり、ヴァーデフール外相は中国企業の視察に2日間の大半を費やさざるを得なかった。また、中国訪問の日程が延期されたことにより、メルツ首相の訪中への準備として位置づけられていた当初の勢いは失速してしまった。結果として、安全保障上のリスクを考慮した中国に対する強い姿勢の表明と、ハイレベルな外交関係の強化をどのように両立させるかという難題をめぐり、新政権にとって最初の試金石となったのは、メルツ首相による2月下旬の北京訪問であった。
メルツ首相の中国訪問に先立ち、首相府はドイツの対中政策に関する5つの指針を提示した。すなわち、慎重な対中戦略の基盤としてドイツの競争力強化を図ること、デリスキング政策を推進すること、公正かつ透明な競争を堅持すること、中国の大国としての地位を認めること、そして、これらの政策を欧州の枠組みの中に位置づけることである。また、この訪中は、ウクライナ戦争への対応を議論する機会としても位置づけられ、メルツ首相は中国のモスクワに対しての巨大な影響力を考慮して、今後あらゆる外交プロセスにおいて中国こそが重要な役割を担いうる存在であると述べた。これらの指針から、中国に対するより強硬なレトリックを用いながらも、中国に対するドイツの継続的な関与を求めるメルツ政権の姿勢が見て取れる。
しかし実際には、メルツ訪中の外交的な成果は限定的なものにとどまった。訪問中に発した対外的なメッセージにおいて、経済面における協力と安定が強調されたほか、ウクライナに関しては顕著に慎重な言及となり、メルツ個人の声明では「ロシアによるウクライナへの戦争」と表現されたものの、中国側との共同声明ではより中立的な「ウクライナ問題」と記されるにとどまった。また、「一つの中国」政策や国連憲章への言及といった、中国側が好んで使用することの多い定型句が連なり、従来どおり慎重なトーンとなった。この結果は、中国に対するドイツの政策調整が依然として漸進的なものであることを浮き彫りにした。すなわち、戦略上のレトリックとしてデリスキングが強調されたとしても、いまだ声明文への記載や実際の経済政策につながっているとは言えないのである。
矛盾する二つの路線——安全保障上のリスクと経済利益
メルツ首相の訪中時に見られた動きは、ドイツの対中政策におけるより大きな構造的特徴を示している。すなわち、安全保障を重視した対外的な発信と持続的な経済関係が共存しているという点である。ドイツは中国に対し、戦略的競争やデリスキングに関する表現を強める一方で、同時に経済関係の安定化とハイレベル対話の枠組みを維持しようと努めてきた。この二本立てのアプローチは、ドイツが依然として中国市場に強く依存している一方で、特に輸出管理の対象となる分野において、重要サプライチェーンの脆弱性に対する懸念が高まっていることを反映している。たとえば、中国のレアアース輸出規制をめぐる議論や、オランダの中国資本半導体メーカーのネクスペリアをめぐる問題の余波が、ドイツ国内において経済的な相互依存関係の「武器化」に対する懸念を引き起こした。これらの一連の動きは、経済安全保障と経済的開放性の双方を追求しようとする際に生じるジレンマを浮き彫りにしている。
ヴァーデフール外相の訪中延期を受け、ドイツ政府は財政・金融ルートを通じて北京との関係の再構築に動いた。延期が発表されてから3か月後の11月には、ラース・クリングバイル財務相兼副首相が訪問団を率いて中国を訪れ、メルツ政権として初の閣僚級訪問を実現させた。メルツやヴァーデフールとは異なり、クリングバイルは中国に対してより融和的な姿勢で知られるSPDの政治家であり、ドイツ連邦銀行や連邦金融監督庁(BaFin)の高官らとともに独中ハイレベル財政・金融対話に参加し、何立峰副首相を含む中国側の担当者と会談を行った。財政・金融対話に重点が置かれた背景には、対中強硬の姿勢を厭わないCDU政治家のヴァーデフールが外交・安全保障について語るよりも、伝統的に親中路線を採るSPD出身のクリングバイルが、双方が利益の一致を見出しやすい財政・金融分野で対話の糸口を模索するほうが良策であるとの見立てが存在したと考えられる。
以上のように、ドイツが中国に対し、安全保障重視の対外発信と経済関係の維持を並行して追求していることは、対中政策の再調整が慎重なペースで進められている理由の一つとなっている。戦略的リスクへの認識は高まっているものの、経済面における安定や実現可能性への懸念によって、リスクを軽減するための具体的な措置は依然として選択的かつ漸進的なものにとどまっているのである。しかし、この二本立てのアプローチは、一貫性の欠如を反映しているのではない。これまでのドイツの対中デリスキングが、既存の相互依存関係からの断絶としてではなく、依存関係の枠内におけるリスク管理のプロセスとして進められてきたことを示しているといえる。
制度面における変化——国家安全保障会議の設立と政策調整
メルツ政権の安全保障政策や対中政策を考えるうえで重要な点のうちの一つが、国家安全保障会議の設置である。ドイツはこれまで、国家安全保障政策、特に防衛・軍縮・軍備管理を審議する場として、閣僚級の連邦安全保障会議(Bundessicherheitsrat、BSR)を活用してきたが、ドイツで新たに設置された国家安全保障会議は、外交・経済・安全保障分野にまたがる、より広範な戦略の調整を強化することを目的としている。
BSRをより包括的な国家安全保障会議へと格上げする構想は、ショルツ前政権下でも浮上していたものの、首相府と外務省の間で権限をめぐる意見の対立がみられたため、実現には至らなかった。これを受け、メルツ政権はこの構想を復活させ、連立協定にBSRを国家安全保障会議へと格上げすることを明記した。その後、計画は順調に進み、新政権の発足から3か月後の昨年8月には新機関の設置が正式に閣議決定され、11月初旬に初会合が開催される運びとなった。初回会合の焦点はハイブリッド脅威への対処に置かれたとされる。
対中政策の観点から考えると、この制度変更の意義は、国家安全保障会議がどの程度の権限を有しているかということよりも、政策の一貫性を高める可能性にある。分野横断的な国家安全保障会議の設置は、経済、外交、そして安全保障分野の間に長年存在してきた隔たりを埋める一助となりうる。中でも、経済安全保障、技術分野におけるリスク、威圧的行為への対応といった問題への対応において、特にその役割が期待される。
制約のなかでの戦略と機会
メルツ政権が対中政策において抱える制約については見てきたとおりだが、それでもなお、現政権はドイツの対中政策を方向づけるうえで、限定的ながらも戦略的な裁量を有しているといえるだろう。現時点で政権発足から約1年が経過したに過ぎないため、その方向性はまだ固定化されていない。しかし、2月のメルツ首相による訪中は、戦略的な対外発信が外交関係や経済的利益と衝突する際、その裁量がいかに限られているかということを浮き彫りにした。
したがって、ドイツに残された選択肢は、自国のみで中国に対する姿勢を変化させていくというより、段階的な調整や協力を通じて中国に対する姿勢を再考していくという方向性にならざるを得ない。ロシアによるウクライナ侵略や欧米関係の悪化など、不安定な国際情勢のなかで、自国の防衛力強化や同盟へのコミットメントがベルリンの戦略的関心を占め、財政的にも政治的にも優先度の高い課題となっていることが、経済安全保障政策を十分に検討する余地を制限している。それゆえ、経済安全保障や貿易の多様化、リスク管理などに関してイニシアチブを発揮し続けるEU、特に欧州委員会と緊密に連携することが、重要な選択肢の一つとなる。
こうした文脈において、タイミングは極めて重要である。ドイツの行動が遅れれば中国への依存関係を固定化させるリスクがある一方で、時期尚早な動きは、他の欧州諸国から十分な支持を得られないまま、経済的コストだけが拡大する事態を招きかねない。ドイツ政府にとっての課題は、いかに自らのイニシアチブに基づく限定的な調整をより広範なEUの政策プロセスと整合させ、政治・経済資本を過度に消費することなく、段階的にデリスキングを進めていくことにあるといえるだろう。
日本への示唆
日本にとっても、ドイツの対中政策の変化が自国へと大きな影響を及ぼすであろうことは間違いないが、他方で日本とドイツが対中政策において直ちに足並みを揃えることができると期待するのは非現実的である。ベルリンにおける対中政策の方向性は、経済的な対中依存や防衛政策における優先事項、そしてEUレベルでの調整に影響されながら、慎重に進められてきた。特にデリスキング、技術的依存、経済的威圧といった分野においてドイツの経済安全保障上の意識が高まれば、実務協力の幅が広がることが期待できる。しかし、そのような協力の深化も、急激な政策転換によってもたらされるのではなく、段階的に進んでいく可能性が高い。
そのような日独二国間の協力は、日本とEUとの関係の将来にも大きな影響を及ぼすであろう。EU域内におけるドイツのプレゼンスの大きさを踏まえれば、日本とドイツが足並みを揃えることによって、経済安全保障やサプライチェーンのレジリエンス、規制枠組みに関して、日EU間でもより緊密な連携が促進されるであろう。こうした両者の連携は、G7における共通の立場を強化することにもつながる。G7において、日本とドイツは、インド太平洋と欧州の視点を橋渡しする重要な役割を果たしている。また、日本が経済安全保障に関してフランスとの連携を強化することで、EUレベルの動きを後押しし、ひいてはドイツの対中政策の見直しに影響を与える可能性がある。
日本が留意すべき重要な点は、ドイツが対中デリスキングをさらに進めていくかどうかということのみならず、それをどのようなタイミングで、また、どのような方法で進めるかという点である。ドイツが早い段階で日本と対中政策の調整を行うのであれば、両者の間での政治的・経済的コストは小さなものとなるであろう。しかし、ドイツ政府が行動に踏み切るタイミングが遅れたり、その政策が曖昧なものであった場合には、日本はより難しい判断を迫られることになるであろう。
変化する戦略的環境のなかで日独連携を推進する
昨今の国際情勢に鑑みれば、アメリカの政策の動向に注目が集まるのはやむを得ないが、中国とロシアはそのような水面下で主要先進国の安全保障や経済的利益を脅かすような状況が続いている。このような状況において、日本とドイツの連携はよりいっそう重要性を増している。調整の方向で報じられているメルツ首相の初訪日が秋に実現すれば、日独連携を推進するためのまたとない機会となるだろう。
日本とドイツにとって、対中政策における足並みを揃えるということは、必ずしも同一の政策を採ることを意味するわけではない。それは、日独二国間、日EU間、さらにはG7といった複数の枠組みを複合的に活用し、プラグマティックに政策を調整することを意味する。それゆえ、メルツ政権下のドイツがいかなる対中政策を推進するかということは、欧州にとってのみならず、日本にとっても同様に重要となるであろう。ドイツ政府がどのような対中政策を選択するかを注視し、もしも自国にとって利益となるような機会を見いだせるとすれば、そのことは日本がこれから、一貫性を有する強靭な対中政策を推進するうえで不可欠な基礎となるだろう。
(写真:Pool/Getty Images AsiaPac)
安達彩
ドイツ外交問題評議会(DGAP)地政学・地経学・技術センターにてアソシエイト・フェローを務める。専門は経済安全保障、地経学、およびリスク低減戦略。EU・ドイツ・中国・日本の対外経済政策分析に焦点を当てており、特にインド太平洋地域およびグローバル・サウスへの関与に重点を置いている。
これまでにドイツ連邦首相ヘルムート・シュミット財団(Bundeskanzler-Helmut-Schmidt-Stiftung)フェローを務めたほか、メルカトル中国研究所(MERICS)に在籍し、定期的に地域経済協力に関する外部コンサルタントとしてドイツ国際協力公社(GIZ)との協力を行った。
ルール大学ボーフムで博士号を取得。博士課程在学中、早稲田大学、ドイツ日本研究所(マックス・ヴェーバー財団)、および中国・蘇州の西安交通リバプール大学にて客員研究員を務めた。それ以前はフローニンゲン大学、ルール大学ボーフム、浙江工業大学にて、国際関係学・経済学・東アジア政治学・中国語を学んだ。


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在ドイツ日本国大使館専門調査員(政務)、コンラート・アデナウアー財団日本事務所 日本プログラム プロジェクト・マネージャーを経て2025年7月より現職。慶應義塾大学法学部政治学科卒業、慶應義塾大学大学院法学研究科前期博士課程(政治学)およびイェーナ大学修士課程(歴史学・政治学)修了。慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程在籍。 専門は現代ドイツ外交史、現代ドイツ政治。
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