中堅・中小企業 経済安全保障に関する意識調査2024

エグゼクティブサマリー
本アンケート調査は、中堅・中小企業およびスタートアップ(以下、中小企業と略記)が、経済安全保障に対し、どのような意識を持ち、現状どのように取り組み、何を課題としているか、本邦で初めて調査したレポートである。調査は2024年4月1日から11月30日の間、国際文化会館地経学研究所(以下IOG)研究員の井川と鈴木より、対象企業61社・団体(以下「社」と略記)に回答依頼を打診し、その結果「辞退」を除く回答(zoomインタビュー、対面インタビュー、メール)を得た14社の集計結果を分析したものである。なお、メール回答の形式は「質問票」への記入方式と、メール文面による回答の二通りであった。
本調査により、中小企業の経済安全保障対応には3類型、①国内ティア1主導型、②米国ドリブン型、③意識しつつも「取り組みに戸惑い」型があることがわかった。
①「国内ティア1主導型」とは、輸送機械の部品産業に代表される、グローバルなティア1サプライヤーが、取引先である中小企業に率先して経済安全保障対応に取り組み、これによって取引先の対応が進むことを指す。その結果、中小企業は、国際情勢の悪化による事業環境の悪化や、悪意のある海外・国内アクターからの脅威への耐性が向上することになる。
②「米国ドリブン型」とは、航空機・宇宙産業に典型的な類型である。最も大きな取引先である米国ボーイングやNASAといった、米国最大手のアクターとの取引により、中小企業が当該国の規制への徹底的な対応を余儀なくされるケースを指す。このような、海外要因により国内中小企業の経済安全保障対応が促進される型を指す。
③「意識しつつも取り組みに戸惑い型」とは、同一セクターにおいて上記①のティア1企業と取引関係にありながら、取扱品目が①②と異なることにより「縛り」を受けない中小企業にあてはまる。例えばオーナー社長が経済安全保障に対する意識は高い割に、明確な対処を具現化できないような企業を指す。
中小企業は日本経済の屋台骨である一方、日本を代表する大企業同様、グローバルな地経学リスクに直面しており、経済安全保障への対応が急務である。しかし、対応状況には中小企業間で大きな格差があることがわかった。特に、経済安全保障を、大手企業の問題と捉える中小企業では、対策が進んでいないのが現状といえる。本調査対象外の企業においても一層の注意喚起、対策ガイドラインの明示などの施策・支援が必要と見られる。さらには政府、自治体、業界団体、取引先企業同士の交流など、産学官にまたがる多層・多元的な取り組み強化が必要となろう。
地経学研究所(IOG)では調査を継続・拡大し、中小企業による経済安全保障対応の実態解明および体系的な分析を進め、政府・企業への提言発出を目指す。
はじめに
2022年5月に経済安全保障推進法が可決成立したことにより、グローバルに展開している大手日本企業は、経済安全保障の対応を加速させている。これは、IOG(2022年6月まで:API、アジア・パシフィック・イニシアティブ)が2021年以来3度にわたり実施してきた「経済安全保障100社アンケート」により明らかとなっている[1]。4度目となる2024年度調査では、例年回答を頂いている大手企業に、取引先中小企業にあたる「一次・二次サプライヤーなどにおける経済安全保障の取り組みの把握」に課題を感じているか、新たに質問した。
アンケートの結果、大手日本企業の4社に1社が、取引先中小企業をはじめ、地経学リスクの把握に乗り出していることがわかった。また別の設問では「経済安全保障への取り組みの一番の課題は何か」回答を求めたところ、34.4%の企業が「一次サプライヤー、二次サプライヤーなどにおける経済安全保障の取り組みの把握」を回答した。4社に1社が取引先の把握に取り組む一方で、3社に1社が自社のサプライチェーン・リスクの把握に課題を感じていることが明らかになった。
政府の中小企業政策の中に、経済安全保障が取り上げられることは少ない。2019年以降はCOVID19対応と、その後の脱コロナが直近の大きなテーマとして議論されている。『中小企業白書』によると[2]、コロナ対応以前の中小企業の課題として、後継者問題、生産性向上、技術開発支援、デジタル活用などを挙げている。2024年度の白書においては、中小企業への「地政学リスク」の影響が言及されているが、「中小企業は地政学リスクを認識しているが、具体的な対応策を取れていない状況」にあるとの記載がみられる程度である。
【本アンケート調査の実施詳細と中小企業の定義】
中小企業の定義は、経済産業省、中小企業庁による「中小企業・小規模企業者の定義」(表1)を参照した。そして経済安全保障対応が必要と思われ、大手日本企業と取引・共同開発等の関係にある中堅企業[3]およびスタートアップ、企業団体も加えてアンケート調査の依頼対象とした[4]。回答企業名は匿名とするが、企業の大分類(製造業、非製造業)および小分類(業種)は、IOG「100社アンケート[5]」に順ずるものとし、併せて従業員数についても適宜言及した。
表1 中小企業の定義(中小企業庁)
出典:中小企業庁< 中小企業庁:「中小企業・小規模企業者の定義」 (meti.go.jp) >
2024年2月1日アクセス
アンケートへの回答を依頼する企業の選別については、日本国内に本社があり、①輸出、海外事業・投資など海外との取引がある、②原材料を海外、特に中国に依存している分野の企業、③グローバルなサプライチェーンの中で重要な位置を占めている分野の企業、および納品先がグローバルな日本企業、④先端技術を扱っており、海外から「狙われる」分野の企業、⑤経済安全保障推進法の4分野「サプライチェーン強靭化、先端技術、重要インフラ、特許非公開」に該当する企業、あるいは該当する可能性がある企業のうち、一つでも該当する企業を対象とした。
【本調査において使用した「質問票」】
本調査の「質問票」には、IOG「100社アンケート」と共通設問および選択肢と、中小企業特有の設問との2種類を盛り込んだ。前者の設問は、中小企業が国際情勢の変化をどうとらえているか、推進法の施行により受ける影響、取り組みが、どのように大企業と異なるのか明確化することを目的とする。後者の設問は、特に国際情勢や推進法施行に関する政策情報をはじめ、経済安保への取り組み方法をどのように獲得しているのかを明らかにすることを目指した。
回答企業の内訳は、以下のとおりである。
(1) 地域(本社所在地):14社
中部:12社
関東・甲信越:2社
(2) 企業の大分類
製造業:14社
(3) 企業の小分類
輸送用機器・機械:9社
その他製造業:3社
精密機器:1社
産業・生産用機械:1社
(4) 従業員数
300人以上:2社
300人~200人:2社
200人~100人:4社
100人~50人:1社
50人未満:5社
1. 経済安全保障対応の初動
中小企業における経済安全保障対応は、いつはじまり、どこまで進んでいるのか。
アンケート調査では冒頭、回答企業が経済安全保障についてどの程度意識しているか、いつから意識しはじめたか、政府による経済安全保障に対応する措置をとっているか、そして社内で議題にのぼる頻度を調査した。
1-1 経済安全保障について、どの程度意識していますか。
中小企業の回答のうち、最多回答となったのは「ある程度意識している(7社)」であった。他の企業の回答は「強く意識している(2)」以外は、「あまり意識していない(2)」「経済安全保障が何を指すのか把握していない(2)」など、政策についての理解にばらつきがみられた。
個別の聞取り調査でわかったことは、経営者が「意識していない」「把握していない」と返答した企業でも、継続質問の「経済安全保障政策に対応する措置」、「経営方針を議論する場において、経済安全保障への対応が議題になることはあるか」への回答内容を見ると、推進法の施行内容および省庁の定める手続き等の、自社業務に直接関係する規制については、理解および把握している企業が複数あるということである。国内大手企業が主催しサプライヤー間をつなげる「協力会」に参加せず、米国企業の取引先でもなく、両者とも関係が希薄な、③「意識しつつも取り組みに戸惑い型」の経営者の中には、規制手続きなどについての現状理解が不十分で不安だとする声も聞かれた。
中小企業は予算、人的資源などに限りがあることをふまえると、経済安全保障の定義および推進法の全体像を中小企業に広く周知することの重要性ももちろんだが、それよりも各セクターの個別企業にとって最も必要とされる対応について、直接的な実務情報や助言を伝えることが望ましい可能性がある。
1-2 経済安全保障について、いつから意識しはじめましたか、また、いつ意識を強めましたか。当てはまるもの全てをお選びください。(複数回答可)
2010年、尖閣沖における衝突事件を契機に中国によるレアアース輸出制限が発動されたことが、日本における経済安全保障政策が策定される契機となった。これを受け、2020年4月に国家安全保障局(NSS)内に「経済班」が発足して「推進法」法案の準備が進んだ。その後は2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻、2022年2月から3月にかけて発生した、トヨタ自動車の部品を供給している小島プレス工業のサイバー被害(マルウエア攻撃)、2022年5月の経済安全保障推進法の可決成立、米国による2022年10月の対中半導体規制強化など、企業の経済安全保障対応を促すイベントが続いた。では中小企業は、いつから経済安全保障を意識しはじめたのか。
企業への聞取り調査によると、半数近い中小企業が、小島プレス工業のサイバー被害の事例をあげた。これは対象企業の多数が中部地方に本社を置く企業だったことと関係している。小島プレス工業はグローバル大手の輸送機器メーカーのサプライチェーンの一角を占める、中部地方の地元企業であり、回答企業の多くにとっては「隣人が被弾した」との当事者意識が共有されていた。これは、①「国内ティア1主導型」の企業に多い事例であり、サプライヤーを協力会の下にまとめる大手企業による周知、呼びかけをきっかけに経済安全保障対応が進んだ実態が明らかになった。
他方、中部地方以外の企業においては、小島プレスの件が「自分ごと」として認識されていないことも明らかになった。国内事案のきっかけよりも、レアアース禁輸やウクライナ侵攻、米国の対中規制など、自社業務に直接関わる国際情勢を契機としてすぐに対応に動く傾向が見られた。ただし、このように迅速な対応を採る企業は過半数に満たず、必要性を把握しながらも対応未着手の中小企業の割合が高く、対応の必要を感じていない企業もあった。経済安保についての意識や理解について企業間の格差が大きいことと併せ、対応が早い企業が先行して措置を講じている現状がわかる。企業間の取り組み格差を今後どのように埋めていくか、どのように意識や対応の全体的な底上げをするのか、今後の検討課題と考える。
1-3 貴社では政府による経済安全保障政策に対応する措置をとっていますか。 役員会、社内会議など経営方針を議論する場において、経済安全保障への対応が議題になることはありますか。
経済安全保障政策に対応する措置についての回答は、海外との取引がある企業も含め「とっていない」回答が最多となった。他方で、何らかの措置を「とっている」「着手した」「検討している」と回答した企業の合計が半数近くに達した。
回答を得た上で行った聞取り調査からは、大手企業が率先して経済安保対応を採り、取引先である中小企業が大手の対応策を教えてもらう構図が見えてきた。また社内の人員に関する制約から、経営者・オーナーが1人で情報収集をして対応を考え、悩む姿も浮き彫りとなった。こうした傾向は、③「意識しつつも取り組みに戸惑い型」の中小企業だけではなく、①「国内ティア1主導型」、および②「米国ドリブン型」企業においても見られた。3類型いずれの中小企業においても、民間・行政、双方からの支援が望まれると同時に、課題を抱えるセクターおよび企業の把握が求められる。
(聞取り調査)
●その他製造業、50人未満
経済安全保障という言葉についてきちんと勉強したことはないが、中国に現地法人があり、製品が日本の輸出規制にかかるため、結果として規制対応ができている。
●スタートアップ、300人以上
普段特別に意識することなく、常に企業業務の中で全社的に経済安全保障対応をしている。米国規制の遵守徹底について輸出管理に対応する部署が把握している。日々の業務の中で関係省庁のパブリックコメントへの投稿内容をチェックしている。政府通達が来た際に、全社員研修を受けている。
●その他製造業、200人~100人
中国での日本企業駐在員の逮捕拘束などSNS等で頻繁に聞くようになり、ここ1-2年で取り組みはじめた。高市大臣(当時)の下でセキュリティクリアランス法制が成立し、必要な制度と理解している。中国による模造品には注意を払っている。
●その他製造業、50人未満
中国に進出した年、輸出のためのキャッチオール規制を勉強しはじめた。自社に関係する狭い範囲に限定されるが、経済安全保障は含まれるイシューが幅広く、興味を持ち勉強せざるをえない。
●スタートアップ、300人以上
経済安全保障対応をしている。取り組みを強化する転換点は、ロシアのウクライナ侵攻だった。海外出身者が転職した際の追跡調査の他、事案が発生した際に特定の国の出身者を対象にした再スクリーニングが従業員に対して行われる場合もある。
●精密機器、100人~50人
業界参入時に大手取引先より、契約締結時の担当者から教えていただいた。
●輸送用機器・機械、300人以上
それ程意識していない。
●その他製造業、300人~200人
開発材料は日本の安全保障輸出管理のリスト規制品に該当するため、外国への直接販売の場合、例えば迂回輸出にまでどのように目を配るかといった問題を抱えることになる。日本の輸出商社に協力を仰ぐ等、販路について社内で議論を始めたところ。これまで外国向けのサンプル提供については、社内の輸出管理手続きはもちろんのこと、必要に応じて経産省の手続き・承認を経た上で発送してきた。経済安全保障に関する問題が顕在化していないため、現時点では思慮を巡らしていない。
●精密機器、100人~50人
航空機業界に参入時に大手取引先より、契約締結時の担当者から対応について教えていただいた。追加事項があるごとに、年2-3回サプライヤーを集め説明会が開催される。コロナ以降はZoom開催されており、生産連絡会議、品質保証会議などの折に、米国大手企業から徹底を求められたコンプライアンス対応等について講義を受ける。取引先が内容を理解したのか、社内教育の確認・報告の提出を求められ、内容を社内展開した証拠(朝礼日時、出席者名簿等)の提出を求められる。
●その他製造業、50人未満
措置を採らざるをえない。規制に違反してから経済産業省などから注意等を受けたことはない。ただし対中国だと、製品輸出で規制にかかるため常に注意を払っている。中国に進出した年、ライバル他社がなく、公安が会社に来た。いまは県警が来る。中国への渡航履歴、現地での面会者などを聞かれた。ブラックリストの中で会った人がいないか確認された。
●スタートアップ、300人以上
政府規制を扱う部隊はCEO直下にあり、政府担当とも日常的に連携している。
●その他製造業、200人~100人
何を取り組まなければならないのか正直わかっていない。検討していない。経営者個人の興味としては情報をフォローしている。
●その他製造業、50人未満
技術的なノウハウは限られた従業員にしかなく、(経営会議の)議題にあげる必要がない。
2.具体的取組と課題
2-1 貴社における経済安全保障の具体的な取り組み内容を教えてください。当てはまるもの全てをお選びください。現在は特にないが計画がある場合は「計画中(内容)」、特にない場合は「特になし」をお選びください。
取組内容の具体例の最多回答となったのは、「情報管理の強化(サイバーセキュリティ)(10社)」となった。これは2023年の100社アンケート(国内大手企業対象)でも75.3%と、最多回答となった。
聞取り調査の結果、取引先である国内大手あるいは米国企業からの(強制力を伴うものも含めた)要請によって、中小企業によるサイバーセキュリティの強化が進んでいることがわかった。扱う品目(物資調達および納品する製品)の性質上、創業時から日米など主要国の規制対応を業務に織り込んできた企業、後発で取り組みに着手する企業、そしてリスクがあるにも関わらず未着手の企業、これら3者間に格差が生まれている一つの要因と推測される。
当アンケート結果を、2023年の100社アンケートと比較すると、中小企業と大企業の取り組みの差が浮き彫りになった。2023年の100社アンケートで2位から4位の回答率を占めた「サプライヤーの変更や多元化」(58%)、「リスク評価の見直し」(44.4%)、「リスクシナリオ、シミュレーション等の実施」(44.4%)の3項目については、中小企業では回答率が低かった。その結果、従来の取引先との関係を維持する方向性の強さと共に、リスク対応まで手が回らない現状が確認できた。
この傾向は、人的資源の対応にも表れている。100社アンケートでは「専門部署の設置」(2023年5位回答、38.3%)、「担当役員の設置」(同7位、25.9%)など、組織および人事面での対応が採られている反面、中小企業においては回答がほぼ皆無だった。中小企業には予算および人材面に課題があり、個社ごとの対応に任せきりにしておいては経済安全保障対応は遅々として進まない可能性があり、取引先である大企業、サプライヤーが集まる大手企業の協力会、政府・行政、業界団体などを通じた支援が必須である。
2-2 経済安全保障に関する貴社の情報収集の方法、入手先について、当てはまるもの全てをお選びください。(複数回答可)
中小企業の情報入手先として最多回答は、「取引先からの情報提供(11社)」だった。次いで多い回答が、「所属する協力会での親睦(7)」および「メディア、報道(7)」。回答傾向として、複数回答を選択する企業と、「報道」や「取引先」のみを選択する企業とで二極化していた。
上記回答に次いで、「政府(6)」および「財界団体からの情報提供(5)」への回答が多数、「財界団体での親睦」「県」「市町村」「コンサルタント、法律事務所、シンクタンク」には数票が集まった。
2番目に回答が多かった「所属する協力会での親睦」は、グローバルなティア1サプライヤーなどが主催する講演会などを指す。部品や物資を供給する中小企業を、協力会を通して大手企業がとりまとめつつ経済安全保障対応のリーダーシップをとって対応を促す、①「国内ティア1主導型」の構造である。
最多回答となった「取引先」には、上記①「国内ティア1主導型」に加え、グローバル大手の米国企業あるいは共同研究の提携先であるNASA(米国航空宇宙局)のような政府機関が、日本国内のサプライヤーである中小企業に経済安全保障対応を「促す」パターンがある。防衛産業や米国の航空・宇宙産業は契約上の守秘義務などの規定が厳しく、聞取り調査の結果、関係する中小企業においては米国側からの契約上の義務として対応措置を採るよう細かな指示を受け、その実施状況についても定期的かつ厳密なチェックが入っている現状が明らかになった。これは②「米国ドリブン型」に典型的な構造である。
中小企業における情報収集のアンテナの張り方は、多方面にアンテナを張る企業と、少数あるいは1か所(取引先あるいは報道)に絞る企業との、二極化が見られる。この傾向は、企業規模(従業員数)および海外展開の有無とは関連性が見られず、回答にバラつきが見られた。従業員数が多く、海外取引があるにも関わらず、経済安保対応が進んでいない企業もあり、リスクが高いと思われる。逆に従業員数が少なく、海外取引も少ない企業において、経済安保の取り組みが非常に進んでいる事例もあった。企業における対応・対策のバラつきの解消、産業全体としての底上げが今後望まれよう。
2-3 所属する協力会の中で、経済安全保障について指導、講習を受ける機会、または議論する機会はありますか。
中小企業の情報収集方法は、同じ協力会(大手取引先の主催)に所属していたとしても、格差があることが明らかになった。記述回答によると、各企業は取引先の大手企業には情報提供だけでなく、警戒するべきタイミングも知らせてもらうなど、アラート機能も期待する声が見られた。また別の回答からは、報道に頼る傾向も強く見られ、一方で、政府、自治体への依存度は低いことが明らかになった。今後は偽情報やミス・インフォメーションへの対策強化が求められ、政府、自治体の対応においても改善の余地があると考える。
なお地経学研究所では2024年11月、偽情報の現状と対策について、米国、英国とハンガリーの事例を比較しつつ、日本の採るべき対策を提言した[6]。企業による情報収集と分析にも役立てていただきたい。
(聞取り調査)
●輸送用機器・機械、200人~100人
サイバーセキュリティの強化を検討(計画中)
●精密機器、100人~50人
社内で経済安全保障関連について理解を統一・徹底するよう大手取引先から再三求められる。
●その他製造業、50人未満
サーバー担当の会社を変えるなどしてサイバーセキュリティに対応した。支出は少し増えたが、その分、日々の利便性も上がる形になり、うまくいった。
●その他製造業、50人未満
特定重要物資の取り扱いを変更せざるをえない。対中輸出できない状態がここ5年ほど続いており、同盟国・同志国への輸出は問題ないため、日本の拠点では経済安保対応はそれほど影響がない。中国事業のセールスポイントを失った。技術を教えたりできないし、現地で人を雇い、投資をした後になって「待った」がかかった。中国からの誘惑は、ある。具体的金額で顧問契約を持ちかけられるなど。全て断っているが今も話しがくる。
●スタートアップ、300人以上
元々業務に経済安全保障対応が組み込まれており、組織として断続的に対応の変化を蓄積してきた。中国対応については、最初から中国は「切り離されている(中国相手に商売をしない)」、つまりデカップリング。この傾向はトランプ大統領(2期目)でさらに加速すると見ている。米国が中国対応を引き締めるほど、中国も報復すると予想している。国内の調整(省庁間)を避けられなくなってくると予想。
●その他製造業、200人~100人
取引先である親会社から言われたとおりに経済安保対応をしている。具体的に何をやるべきか、情報管理部門から指導を受けるものと理解している。防衛省由来の仕事がきっかけとなり、外部から侵入されないか、セーフティーゾーンを設けているかなどを点検される。他社がウイルス感染した際に複数の大手取引先から確認を求められた。国内大手に加え、米国大手企業やFAA(連邦航空局)からも直接監査を受けた話しを(他社から)聞いた。2-3年に1回監査など、結構な頻度で監査が入り、事案発生時はFAAが界隈の企業を網羅的に見に来た。
●その他製造業、200人~100人
工業団地や商工会議所に県警が来てウイルス対策などについて2年に1度くらいの頻度で講習会を開き、注意喚起を行っている。
●その他製造業、50人未満
取引先のお客様も関わる機微な物資を扱っており、秘密保持契約の締結時に詳しく説明を受けた。サイバー対策をどこまでやっているかなど具体的に聞かれ確認された。
メディアが一番の情報ソース。情報源としては、取引先の情報も大切にしている。様々な業種の企業と付き合っており、上場企業の生の話し、昔からその分野に精通している人のお話しをできるだけ聞くようにしている。
●スタートアップ、300人以上
社内に専属部署があり、情報は十分に収集されている。必要な情報を全部は入手できないが、社内にIR部隊があり情報は十分に収集されていると理解。海外取引が多く、情報収集は大変な作業。積極的に海外市場に出て行って営業と情報収集を同時に行っている。
●その他製造業、200人~100人
大手の工場の協力会、共同組合を経由して情報が来る、大手企業としてもこの方法が情報共有の効率がいいと思われる。会合頻度は高く、定時総会で取引先が全社集まる。また様々な部署それぞれの対応カウンターパートの委員会で情報をもらうこともある。年間通して講演会やセミナーがあり招待される。
●その他製造業、50人未満
協力会に入る取引先ではない。
●スタートアップ、300人以上
米国政府とも接触するため、米中を選ぶタイミングは皆無(中国が不可)。
●その他製造業、50人未満
中国におけるビジネス機会を見出したことはあったが、日米の規制に背いてまで検討する事案ではない。
●機密機器、100人~50人
半導体セクターでは米国製PC使っているか(中国製ではない確認)、生産機械や原料・素材が米国製か中国製か確認されると聞いたが、所属セクター内でそのような事例は聞いたことがない。
●その他製造業、200人~100人
(ロシアのウクライナ侵攻以降)水道光熱費関係の支出が上昇した。
●その他製造業、50人未満
金属関係ではレアメタルなどは価格が一時期上がったが、落ち着き始めた。それ以外の一般的ではない材料についてはレアメタルほどの影響はない。
●その他製造業、200人~100人
防衛装備関係の取引はあるが、台湾有事について普段は意識せず議論しない。ただし皆が常に念頭に置いている。
●その他製造業、50人未満
日本として有事の際にどうするか、有事の際にどこが打撃を受け、お客様の誰が被弾するか、など2-3ケ月に一回くらい話題になる。中国の景気がもっと悪くなると、台湾有事発生の確率が上がるのではないか。
●スタートアップ、300人以上
台湾有事のBCPについて社内で話しを振っても答えがない。BCPを考えなくても業務が回る部分もあるが、これまでのビジネス環境の「前提が根本的に変わって」しまうと、対応が必要になるのではないか。
●その他製造業、200人~100人
防衛装備関係の取引があり、海外拠点の展開よりも国内拠点における情報漏洩を心配している。業務を外国人に任せていないか、取引先大手から確認される。コロナ禍を明けてから需要が戻ってきたが、ヒトを減らしたり配置転換をやってしのいだため、現在ヒトが足りない。基幹的な機材をインターネットにつながない、事務やNCプランニングに外国人を就けない等、従来からの対策を継続している。現場作業なら外国人材でもいいのか、民間機業務ならいいのか、セキュリティ上問題なければいいのでは、と取引先大手とも議論している。
●その他製造業、200人~100人
過去にインドネシア進出を検討したが消滅した。
●その他製造業、200人~100人
直前までは他社のコロナ倒産もあり、経産省による支援もあった。国産旅客機撤退による損害が大きく、サプライヤーを集めそれぞれ相談窓口を設け、中小企業の中で事業を辞めるなら窓口で相談に乗る体制が敷かれ、代わりの案件をいただいたり、廃業他社の仕事が回ってきたこともあった。コロナ禍が明け、海外取引、国内需要が共に復活し、そこに防衛予算増も重なり、神風が吹いたような、特需のような状態。
●その他製造業、50人未満
中国に社長として行くのを控えており、いま国内に一番、力を入れている。米国の新規事業もゼロではないが、日本回帰の次に「どこか次の1拠点」と言ったら中国。現地情報、規制などについてノウハウがあり、人的にも対応可能。
2-4 浮き彫りになった課題
前項「2-3」では、回答企業の情報入手方法、情報源などについての聞取り結果を引用した。中小企業は情報面で孤立しておらず、経済安全保障対応に必要な情報を3類型それぞれの方法で入手していることがわかった。同時に、課題も浮き彫りになった。
中小企業にとっての経済安全保障対応は、脱中国や国内回帰などサプライチェーン強靭化だけでなく、情報漏洩や技術移転、技術流出対策が大きな課題である。回答企業による対策はサイバーセキュリティの強化が中心となったが、人材流出など人を介した漏洩についても対応を強化する必要があることがわかった。また、こうした対策を講じたとしても、悪意のある国家・海外企業による日本企業の買収によって技術が流出することもありえよう。この点において、国の情報機関である公安警察に代表されるような、警察組織による情報漏洩対策はどの程度機能しているのだろうか。日本経済新聞は、先端技術を開発するスタートアップ企業から海外に技術が流出するリスクについて報じており[7]、本調査ではこのような課題についても引き続き調査を行う。
3.政府への期待、日本経済への期待
(聞取り調査)
●その他製造業、200人~100人
COVID19と国産航空機開発の頓挫で債務超過まで追い込まれ、危機だった。銀行だけでなく航空機大手からも仕事をいただき、人材を引き受けてもらい、政府等への支援申請(再生補助金、コロナ特別融資等)も手伝ってもらって乗り越えることができ、感謝している。MA等あったものの、同業社は皆、倒産を免れた。
●輸送用機器・機械、300人~200人
各地紛争によるエネルギー費用の高騰の抑制、原材料等の輸入品の費用上昇抑制、諸外国からの日本へのネットワーク侵入の制限。
●輸送用機器・機械、200人~100人
エネルギーコストの上昇等、経済安全保障に関する経営面の悪影響へのサポート。
●スタートアップ、300人以上
中国デカップリング関連の手続きばかり海外・国内で強化されながら、日本(企業)が海外での優遇からは外される現状がある。規制で工数がかさむと企業競争力に影響することを政府には意識してほしい。
●輸送用機器・機械、50人未満
具体的な(中小企業向けの)経済安全保障対策を出してほしい。
●輸送用機器・機械、50人未満
経済安全保障について、業態やリスクに基づいた解りやすいガイドラインの発行。
●輸送用機器・機械、50人未満
わかりやすい情報の展開。
●その他製造業、50人未満
現地事業環境を改善するような中国との関係改善を期待。国内においては、コロナおよび推進法以降の3年間、サプライチェーン関係の補助金をフル活用しており、政府の政策に満足している。経済安全保障関係の規制の縛りは、国内ではそこまで厳しいとは思わないが、対中規制は厳しいと思う。
●精密機器、100人~50人
政府は防衛費、宇宙関係予算を拡大したが、どうしても大手中心に映る。中小企業は大変苦しく、理解されていない印象受ける。仕事をお願いする取引先が減っており、日本の技術力が落ちていると感じる。経済安保の側面に加え、国内空洞化の問題でもあろうが、大企業における技術の空洞化、精密部品を作るノウハウが失われている印象を受ける。行程、材料、設計などを担当が知らないケースがある。試作のためにNDAを出すと、試作品を納めた段階で「海外でやる」「中止」と突然切られることがある。「試作だけ無料で作ってもらえないか」などと中小企業とその技術を使い捨てにするかのような担当者がいる。コラボ先で技術を盗まれたケースも聞いた。海外企業に加え、大手日本企業も自分たちにとっての潜在的な脅威と見ている。
●輸送用機器・機械、300人以上
海外事情に左右されず、日本国内で自己完結できる自立した経済圏の構築。
結論
本調査は、中堅・中小企業(スタートアップ含む)を対象としたアンケートをもとに、経済安全保障に対する意識および取組を浮き彫りにすることを目指した。結果として彼らの対処の型には、①「国内ティア1主導型」、②「米国ドリブン型」、③「意識しつつも取り組みに戸惑い型」の3類型が存在することが判明した。
一つ目の「国内ティア1主導型」とは、例えば輸送機器の部品産業に代表されるグローバルなティア1サプライヤーがイニシアティブを取り、その協力企業であるティア2、ティア3企業に対して企業間関係を用いて経済安全保障に対する対処指導を実施する形である。
二つ目の「米国ドリブン型」とは、航空機や宇宙産業に属する企業に典型的に見られる対処方法である。この産業において最も大きな力を持つ組織の一角である、米ボーイングやNASAに代表される米国側のアクターと取引を行うことによって否応なしに米国規制への対応を徹底され、必然的に関与する日本側中小企業の経済安全保障対策が進むことを指す。
三つ目の「意識しつつも取り組みに戸惑い型」は、①②のような取引先の(強制を含む)指導とは異なり、これら企業においては同じ産業セクターにありながらも取り扱う品目が異なることから、「縛り」を受けない。しかし同セクター内のため、オーナー社長の意識によっては他社の採る対策に敏感になり、情報収集をするが、自社が具体的に何に取り組むべきか明確にできず、悩むこととなる。
この他、本調査が及ばない企業の中には、人的・予算上の都合などにより、海外との取引がありながら、あるいは先端技術を扱いながらも経済安全保障に関わる取り組みに着手できていない企業が非常に多いことが予想される。よって、四つ目の類型として④「ノーマーク型」の存在を指摘しておきたい。
本調査を通じて、①「国内ティア1主導型」に属する中小企業体は、随時必要な措置を採っている一方で、イニシアティブをとるティア1大企業に対し受け身の姿勢が見られることが明らかになった。ティア1大企業が経済安全保障対策のガイドラインを提供してくれるので、我々がどうこうする話ではない、という認識だ。他方で③の「意識しつつも取り組みに戸惑い型」の中小企業体においては、取引先の縛りはないが、同じ産業セクターで操業する経緯で、経済安全保障への意識も低くない。勉強熱心な社長の場合は、むしろビジネスチャンスと捉え前向きに対処している企業もある。しかし今後、事業内容を拡張・変更する際、具体的な取り組みの方向性や、何に情報を頼るかを見定められていない傾向が明らかになった。また従業員数も多く、国外取引もある企業にも関わらず、経済安保への取り組みに無関心な企業もあることがわかった。今後はこのような企業の取り組みをどのように支援するのか、どのように問題意識を喚起するのか、課題であろう。
日本の中小企業は、企業間の横ならびの関係を重視しており、大手企業からの情報提供を最優先しがちであり、また大手取引先からの情報共有を最優先する傾向にある。この点において、ティア1として経済安全保障対策を主導する大企業が、協力先企業である中堅・中小企業の経済安全保障対策の浸透をチェックする責務は大きい。ティア1企業の取り組みに漏れや不徹底がある場合、多数の取引先が脆弱なまま放置されることになる。悪意のある外国政府・勢力はそこを狙い、日本を代表する大企業や政府よりも、様々な人的・資金的な制約の大きい中小企業を攻撃することであろう。
例えば自動車メーカー本体の防御は強くても、その2次・3次サプライヤーである小島プレス工業が狙われるケースが既に発生している。このような経済安全保障についての認識ギャップを今後どのように埋めていくのか。経済安全保障は国レベルの問題であり、政府および自治体が、民間企業に率先して対策イニシアティブをとることが求められる。この点において、今後改善の余地があると考える。
本調査では、今後も経済安全保障対応を必要としている業種・企業にターゲットを絞りつつ、業種、地域、企業規模(従業員数)に偏りがないよう留意しつつ、依頼先を意欲的に探していく。経済安全保障対応が必要となっている、非製造業への調査も今後の課題である。本報告では、61の企業および団体に回答を依頼し、「回答辞退」を除き14社の回答を得た。東京都の関連団体は都内の中小企業100社に経済安全保障についての意識向上を目指しアウトリーチしたところ、100社の中で興味を示した企業が1社、その1社も詳細な説明を受けることを辞退したとされる[8]。調査の回答率が伸びない点、経済安全保障に関心が薄い④「ノーマーク型」企業へのアクセスについて、改善策が必要である。引き続き回答依頼および聞取り調査を継続しつつ、より体系的な分析と政府・企業への提言発出に向け準備を進める。
【参考資料】
経済安全保障に関する意識調査 2024年度版 <質問票>
【謝辞】
本調査によるアンケートおよび聞取り調査にご協力いただきました企業、関係団体、および助言をいただきました有識者の皆様に御礼申し上げます。地経学研究所をご支援いただいている皆様に厚く御礼申し上げます。
脚注
- [1] 国際文化会館地経学研究所「#経済安全保障100社アンケートの研究活動一覧」< https://apinitiative.org/GaIeyudaTuFo/wp-content/uploads/2024/09/economic_security_survey_2023_web.pdf > 2024年12月1日アクセス。
- [2] 中小企業庁『中小企業白書』2018年-2024年版。
- [3]中堅企業については、産業競争力強化法により、中小企業者を除く従業員数2,000人以下の企業を「中堅企業者」と定義するとした経済産業省の定義を用いる。< https://www.meti.go.jp/policy/economy/chuuken/tokutei-chuuken.html >2024年12月27日アクセス。
- [4] 都道府県ごとに支部を持つ中小企業団体中央会には、メールアドレスを持つ支部に対しては各支部ごとにアンケートの打診を実施したものの、A県中央会が「参加企業の属性が多岐に渡る為協力できない」旨回答してきた以外は無回答であった。一方で京阪神、関東地域などの中央会はメールでの問い合わせ機能はなく、業務量が多いゆえに内容がより特化されていると考えることもでき、今後も引き続き調査を継続する。
- [5] < https://instituteofgeoeconomics.org/research/tag/economic-security-survey/ >2024年12月1日アクセス。
- [6] 石川雄介、ディクソン藤田茉里奈、貝塚沙良『偽情報と民主主義:連動する危機と罠』国際文化会館地経学研究所< https://instituteofgeoeconomics.org/research/20241120-summary/ >2025年2月10日アクセス。
- [7] 日本経済新聞「次世代電池のAPBが破綻危機 創業者「わなにかかった」」2024年12月25日<https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC2096B0Q4A221C2000000/>2024年12月27日アクセス。
- [8] エコノセックジャパン実行委員会、時事通信主催、「シンポジウム 経済安保100社アンケート:国際情勢のリスクと課題」ECONOSEC JAPAN: 経済安全保障対策会議・展示会、東京都立産業貿易センター浜松町館、2024年9月12日。

経済安全保障100社アンケート
地経学研究所(IOG)は、初回である2021年から数えて4回目となる経済安全保障100社アンケートを実施しました。ウクライナ情勢を受けて、対ロ制裁は企業のコスト増や事業の将来性など経済活動に様々な影響を及ぼすとともに、米中対立や台湾有事への危機意識も高まっています。そのような中で、日本企業は、情報管理の強化やサプライチェーン強靭化など、安全保障と経済活動のはざまで苦悩しつつ様々な取組を進めています。経済安全保障をめぐり、企業は何を課題とし、どのように対処しようとしているのか、アンケートの結果などを踏まえて考察を深めます。



主任客員研究員
京都先端科学大学経済経営学部・ビジネススクール准教授。専門は知識経営、国際経営、組織行動。京都大学大学院経済学研究科博士後期課程指導認定退学、博士(経済学)。バブソン大学経営大学院修了(MBA)。 [兼職] 京都先端科学大学経済経営学部・ビジネススクール准教授
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主任研究員
慶應義塾大学大学院法学研究科修士、European University Institute歴史文明学博士。新潟県立大学国際地域学部および大学院国際地域学研究科准教授、モナシュ大学訪問研究員、LSE訪問研究員、外務省経済局経済連携課を経て、2021年に合同会社未来モビリT研究を設立。現在、日本経済団体連合会21世紀政策研究所欧州研究会研究委員、東京大学先端科学技術研究センター牧原研究室客員研究員、フェリス女学院大学非常勤講師。2021年12月にAPI客員研究員兼CPTPPプロジェクト・スタッフディレクター就任。 【兼職】 合同会社未来モビリT研究 代表
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