トランプ政権トラッカー:大統領令の概要と解説 No.22(2025年6月13日-6月23日)

■解説付き■ 米国によるイラン攻撃:大統領より下院議長・上院仮議長宛の書簡全文(6月23日)
■解説付き■ 関係者の声:トランプ大統領の力による平和の示威(6月13日)
【一覧】トランプ政権トラッカー(大統領令・布告・覚書・発表)

Index 目次

大統領令一覧

TikTok禁止の執行をさらに延期する大統領令(6月19日)

この大統領令は、1月20日の大統領令、4月4日の大統領令と立て続けに法の執行停止が命じられていたTikTok禁止法について、さらに90日間の延期を命じ、執行猶予期間を2025年9月17日まで延長するもの。(大統領令はこちら

布告・覚書・公式発表一覧

■解説付き■ 米国によるイラン攻撃:大統領より下院議長・上院仮議長宛の書簡全文(6月23日)

ホワイトハウスは、トランプ大統領が6月21日に実施したイランへの攻撃について、下院議長および上院仮議長宛に送付した書簡の全文を公開した。書簡では、今回の攻撃が米国の国益の保護およびイスラエルに対する集団的自衛権の行使を目的とするものであり、標的が核施設に限定されていたこと、さらなるエスカレーションの抑止が重視されたこと、そして必要に応じて追加的な措置を講じる可能性があることが明示されている。(詳細はこちら

解説
2025年6月21日のイラン核施設攻撃に関するトランプ大統領の書簡は、戦争権限法に基づく議会への事後報告であり、大統領が議会承認なしに軍事行動を行う典型例である。書簡は限定的・比例的攻撃であることを強調し、米国の国益と同盟国イスラエルの自衛を根拠に正当化している。地上部隊不使用や最小限の被害を強調することで戦争ではなく自衛措置と位置付け、議会の関与を回避した構図だ。国際法的には「必要かつ比例的」として正当化を試みているが、武力攻撃(又はその差し迫った脅威)の有無は不明である。全体として、外交と軍事を即応的に統合するトランプ流の抑止戦略が示され、議会との協調よりも迅速な既成事実化による主導権確保が優先されたといえる。(神保謙)

科学技術政策局、「ゴールドスタンダード科学」のための機関向けガイダンスを発行(6月23日)

ホワイトハウスは、5/23の大統領令で科学技術政策局に作成が命じられていた「ゴールドスタンダード科学」(透明性・厳密性・客観性等の原則を重視した科学)の実践のためのガイダンスが発行されたことを公表した。またクラツィオス局長は一連の取り組みについて、連邦政府による科学研究の管理・実施を計画から発信まで変革し、米国のリーダーシップを保証するものとした。(詳細はこちら、ガイダンスはこちら、関連記事はこちら

沖縄戦80周年に寄せる大統領メッセージ(6月22日)

ホワイトハウスは、沖縄戦での米国の勝利から80周年を迎えるにあたり、祖国のために戦った米兵たちの勇気と犠牲を称えるとともに、こうした犠牲が現在の日本との同盟関係の礎となっていることを強調するメッセージを発表した。(詳細はこちら

■解説付き■ 関係者の声:トランプ大統領の力による平和の示威(6月22日)

ホワイトハウスは、トランプ大統領がテロ支援国家であるイランの主要核施設に対して断固たる行動をとったことについて、議会の超党派から称賛を受けたと発表した。上院・下院の議員らの賞賛の言葉も紹介している。(詳細はこちら、イランの核施設への攻撃に関する政権幹部らのコメントはこちら

解説
トランプ政権によるイラン核施設攻撃を支持する議員コメントを集めた声明は、冒頭で「超党派の称賛」とうたわれているが、実際に引用されたのはほぼすべて共和党議員であり、超党派という表現は誇張に近い。民主党議員の多くは、議会への事前説明の欠如や攻撃の効果に関する情報機関との見解の相違を問題視し、トランプ政権が一方的に軍事行動に踏み切ったと強く非難している。一方、共和党は「限定的・比例的な行使であり、憲法上の大統領権限に基づくもの」として支持を明確にしており、政権との一体性が目立つ。今回の攻撃は米国内における外交・安保政策の党派分断を一層際立たせ、戦争権限の運用をめぐる与野党の根本的な認識の差が改めて浮き彫りとなっている。(神保謙)

「大統領は、上院共同決議第13号(S.J. Res. 13)および上院共同決議第31号(S.J. Res. 31)に署名した」(6月20日)

ホワイトハウスは、大統領が以下の二つの法案に署名し、法律として成立させたと発表した。一つ目は上院共同決議第13号で、財務省通貨監督庁が提出した、銀行合併法(Bank Merger Act)に基づく申請審査に関する規則について、議会の不同意を表明するものである。二つ目は上院共同決議第31号で、環境保護庁が提出した、大気浄化法第112条に基づき主要発生源を地域発生源に再分類する最終規則について、議会の不同意を表明するものである。(詳細はこちら

テキサス州イーグルパス市に対し、カミノ・レアル国際橋陸路入国検問所における車両および歩行者用国境通過地点の拡張・維持・運営を許可する大統領覚書(6月20日)

この大統領許可は、テキサス州イーグルパス市に対し、メキシコとの国境に位置するカミノ・レアル国際橋陸路入国検問所の拡張を、連邦・州・地方政府職員による立入調査の受け入れ等の条件を付した上で、許可するものである。本件は、イーグルパス市(許可取得者)が2024年11月26日付で国務長官に提出し、追加情報を経て補完された申請に基づき、大統領の許可を得た形となる。(詳細はこちら

「サービス業従事者は、トランプ大統領の『チップ非課税』の味方である」(6月20日)

ホワイトハウスは、サービス業、ホスピタリティ業、小売業の時間給労働者の83%が、トランプ大統領の「チップ非課税(NO TAX ON TIPS)」計画を支持しているという新たな調査結果を発表した。このチップ非課税計画は、バイデン政権下でのインフレに苦しむ国民を救済するため、大統領が就任初日(Day One)に掲げたコミットメントの一つであり、トランプ大統領が推進する法案「One Big Beautiful Bill」の一部を構成している。(詳細はこちら

「One Big Beautiful Billは全50州にとって良いものだ」(6月18日)

ホワイトハウスは、One Big Beautiful Billによる大幅減税が、長期的な賃金上昇と手取所得の増加にどの程度つながるかについての大統領経済諮問委員会(CEA)による試算結果を発表し、同法案の効果が全50州の国民に広がることを強調している。(詳細はこちら

研究活動一覧
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